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ワシントンのシンクタンクの可能性

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 筆者は、この3月に、WEBRONZAで「衝撃のレポート――日米関係の将来を憂う」という記事を書いた。そこでは、米国のシンクタンク(特にワシントンにおけるシンクタンク)や大学で日本研究者や日本関連のプロジェクトが激減していることやその問題点を、ある調査レポートの報告を基に分析した。

 その記事では言及しなかったが、実は、ワシントンのシンクタンクにおける日本人の研究者やスタッフも、ここ数年で急速にその数が減っている(注1)。かつては、アーバンインスティテュート(UI)に在籍していた上野真城子さん(現・関西学院大学教授)や戦略国際問題研究センター(CSIS)にいた渡部恒雄さん(現・東京財団上席研究員)らが活躍されていたが、現在は日本に活動の中心を移されている。その他にも、多数の日本人若手研究者が現地のシンクタンクに所属していたが(注1)、その多くは現在帰国している。

 また、発信力のあるワシントン在住の日本人も近年はあまりいない。以前は、前朝日新聞主筆の船橋洋一さん、多摩大学学長の寺島実郎さん、元日本経済新聞副論説委員の小池洋次さん(現・関西学院大学教授)などがいたが、比肩されるべき日本人は今はほとんどいないのが現状だ。

 このように、米国、特にワシントンを中心に、日本への関心が低下していると共に、日本の状況を伝える力も弱体化してきた。また、2009年以降、日本の民主党(中心)政権のもと、普天間基地の移設問題などで日米関係が揺れ動き、たび重なる政権の交代劇もあって米政府の日本政治への信頼性は非常に低下している。

 そんななか、今夏から、二人の日本女性が、ワシントンのシンクタンクで研究活動を開始した。

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