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FXはユーロファイターを採用すべきだ

清谷信一 軍事ジャーナリスト

 航空自衛隊の次期戦闘機(FX)選定が大詰めを迎えている。9月末には候補3機種のメーカーらから提案書が提出され、11月末までには結論が出ることになっている。

 FX選定は混迷を極めた。当てもないのに非現実的なF-22の採用にこだわり(WEBRONZA「次期戦闘機(FX)に『ステルス』は不要だ」参照)、あたら時間を失った。このFX選定の低迷は防衛省・自衛隊の当事者意識の欠如を如実に物語っている。

 FX選定のそもそもの問題は、これが単に次期戦闘機の選定というある意味「戦術的問題」ではなく、我が国の防衛航空産業政策をどうするかという大局的決断が必要な「戦略的問題」だという認識が、防衛省にも、経産省、政府にもないことだ。故にこれを単に空自の戦闘機選定に矮小化してきたのだ。

 我が国は戦後一貫して、防衛産業の振興と安全保障の観点から、戦闘機の生産、開発能力の保持に傾注してきた。まずFX選定においてはこの政策を維持するのか、変更するのか、ということが大きな問題だった。

 戦闘機の生産基盤の維持を是とするのであれば、F-22あるいは現在候補に挙がっている米英など9カ国が共同開発中のF-35の選択ははじめからあり得ない。今から6、7年前にはすんなりとFXの選定は済んで、今頃は既に最初の実戦部隊が編成されていたはずだ。

 戦闘機の構成要素としては、大きく分けて、機体、エンジン、それにレーダーや火器管制装置などシステムとその統合が挙げられる。現在の戦闘機の開発には極めて多額の費用がかかる。機体も高価になっており、その調達数は大きく減少する傾向にある。つまり一機あたりの開発単価はより大きくなっている。そして一機あたりの調達単価もこれまた高騰の一途を辿っている。

 最近ロシアはインドと共同でいわゆる第5世代のステルス戦闘機の開発を発表した。これは既にプロトタイプが開発されているT-50をベースに行われるが、物価や人件費の安いロシア、インドですら5000億円ほどの開発が必要とされている。

 このため世界の軍事支出の半分を消費している唯一の超大国、米国ですら

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筆者

清谷信一

清谷信一(きよたに・しんいち) 軍事ジャーナリスト

軍事ジャーナリスト、作家。1962年生まれ。東海大学工学部卒業。03~08年まで英国の軍事誌Jane's Defence Weekly日本特派員。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関、Kanwa Informtion Center上級顧問。日本ペンクラブ会員。著書に『専守防衛─日本を支配する幻想』『防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備』『自衛隊、そして日本の非常識』『ル・オタク フランスおたく物語』、共著に『軍事を知らずして平和を語るな』『アメリカの落日―「戦争と正義」の正体』『すぐわかる国防学』など。最新刊に『国防の死角――わが国は「有事」を想定しているか』。

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