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原発輸出の意義とその論理を考える

櫻田淳 東洋学園大学教授

 十一月二日午後、玄海原子力発電所四号機が発電を再開した。これは、福島第一原発事故後、停止した原発が再び稼働する最初の事例である。これに加えて、十月三十一日、野田佳彦(内閣総理大臣)は、グエン・タン・ズン(ヴェトナム首相)と会談し、昨年十月の日越両国の合意に基づき、日本からの原発輸出方針の継続を確認した。

 十月二十九日、玄葉光一郎(外務大臣)は、来日中のS・M・クリシュナ(インド外相)と会談し、日本からの原発輸出に必要とされる日印原子力協定の交渉を進展させることで合意した。原発を取り巻く国策上の位置付けは、徐々に「震災前」に戻りつつあるかのような風景である。

 インドやヴェトナムに対する原発輸出方針の継続は、菅直人内閣以来の「脱原子力依存」志向とは明らかに逆行するものであろう。それは、原子力発電の比重を低減させようという国内の気運を前にするとき、「二重基準」の対応という印象を世に与えるものであろう。

 しかし、筆者は、次に挙げる三つの観点から、原発輸出の意義を把握すべきであろうと考えている。

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