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FXのユーロファイター採用は、米国に対する大きなカードになる

清谷信一 軍事ジャーナリスト

 かつての航空自衛隊の戦闘機選定において、欧州製の戦闘機は候補には挙がるものの、完全な当て馬状態だった。だが、今回のFX選定では最終選考の3機の一つに残っている。これは大きな前進だ。

 だが、政治家、外交関係者、防衛省、そしてメディアにも、同盟国たるアメリカのご機嫌を取り結ぶためにはじめから米国製の機体を採用すべきだとの声もいまだ強い。このような考え方は政治的、外交的、軍事的にも極めてナイーブ、あるいは幼稚と言わざるを得ない。

 この手の論者は、まず同盟国たる米国との相互運用性の確保を主張する。しかし、言うまでもないが、NATO諸国の多くが欧州製と米国製の機材を併用し、欧州各国そして米国もNATOのメンバーとして、装備開発に関しては互いの相互運用性を確保する前提で開発している。

 特にユーロファイターの対日販売の窓口となっている英国は、米国ともっとも親密な軍事的関係を維持し、イラクなど多くの戦場で肩を並べて戦ってきたから、相互運用性に問題はない。また米国の同盟国であるサウジアラビアも欧州製戦闘機を併用しているが、だからといって米国との関係が悪くなったという話は聞かない。そもそも当の米空軍も欧州製の機材を多数使用している。米軍との完全互換性を欲するのであれば戦闘機をはじめ艦艇、車両、小銃に至るまで米軍と同じ装備を導入する必要があり、国産兵器の開発はすべきでない。

 安全保障の原則から言えば、一国に主要兵器の供給を頼るべきではない。はじめから採用を決定していれば価格や条件の交渉ができず、相手のいいなりの値段、条件を呑むしかない。手札を晒(さら)してトランプをやるようなものだ。

 また、兵器はいったん採用すればこれを長い期間使うことになるが、その間、

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