2011年11月18日
今回のドイツ訪問を前に抱いた関心は以下の三つの点だ。
(1)福島の事故直後、ドイツ各地で反原発デモが起き、原発閉鎖を求めた。メルケル政権は2022年までの脱原発を決めたが、半年たって冷静な空気が戻ってきたならば、原子力産業はもちろん、産業界や経済官庁が再び、原発の必要性を論じ始めているのではないか。
(2)政府の倫理委員会は、脱原発のための代替エネルギー開発の重要性を指摘していたが、再生可能な自然エネルギーの普及は実際にどうなっているのか。何が問題点なのか。
(3)「原発閉鎖によって隣国フランスなどからの輸入に頼るだけ」という批判にドイツはどう答え、どう対応しようとしているのか。
国民感情が冷静になれば、再び原発推進論が頭をもたげているのではないか、という第一点目の推測はまったく思い違いだった。
連邦下院は6月、与党キリスト教民主同盟(CDU)、自由民主党から野党・社会民主党、緑の党まで全政党の支持で、脱原発の方針が承認された。連邦政府の官僚たちから、脱原発の方針に沿った説明を聞くのはその意味で当然だった。日本の経済産業省にあたる連邦経済技術省のヨッヘン・ホマン事務次官からは、原発推進をにおわす言葉は一言もなかった。
印象に残っているのは、原発業界の声を代表するドイツ原子力産業会議を訪ねた時だ。
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