2011年11月22日
ここ1週間余り続いた、11月18日に解任された清武英利・巨人球団代表に対するスポーツ紙総がかりの袋叩き、バッシング記事のことだ。
まるで「人間のクズ」のように書き、それこそ罵詈雑言の雨あられ。彼のやったことを、「正気でない」かのように書くが、書いている側こそ、正気とは思えない。
コーチ人事をいったん了承しながら、それをひっくり返そうとしたと「読売新聞のドン」渡辺恒雄氏を記者会見で公然と批判した清武氏。「日本シリーズ終了まで待っていたら、コーチたちを守れなくなる」と、日本シリーズ開幕前日の11日に告発会見を開き、「たったひとりの反乱」を決行した。その結果、どうなったかは周知の通りだ。
スポーツ紙は総がかりで、「日本シリーズ開幕前日にやったのはけしからん」などと非難したが、実際の話、「清武の乱」とその余波を連日一面で書いたのは当のスポーツ紙ではないのか(「東京中日スポーツ」は別。ドラゴンズが日本シリーズに出ているからだ)。日本シリーズをそれほど神聖視するなら、そこまで言うなら、何が起ころうと日本シリーズを、プロ野球記事を一面で書け。
「清武の乱」で、世間のプロ野球への関心は皮肉にも相乗的に高まり、スポーツ紙の売り上げにも、日本シリーズのテレビ視聴率にも、実は大いに貢献したのではないかとわたしは個人的には思っている。
わたしは2010年、清武氏に密着取材したことがある。わたしが記者として仕事をしている雑誌「AERA」には、「現代の肖像」という人物ルポ風の長文企画があり、その取材で清武氏と何度か会った。いろんなことを話した。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください