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ダルビッシュの親戚の絨毯(じゅうたん)屋につかまって…

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 何年前だろうか、イランの首都テヘランのバザールを歩いていて絨毯(じゅうたん)屋の客引きにつかまってしまった。お店に行ってみると日本ハムのダルビッシュ投手と親戚だという。ダルビッシュの父親が日本でペルシア絨毯の輸入業をやっていたという話を思い出した。なるほど日本語のパンフレットなどもあった。ダルビッシュ投手はペルシア語を話すのかと問うと、しゃべらないとの答えが戻ってきた。

 おしゃべりをしているうちに絨毯を買う羽目になった。こちらには絨毯の価値とか価格などは全く分からないので、きっとカモにされているのだろう。しかし、どこでカモにされてもダルビッシュの親戚の店ならば、話のタネくらいになるかと覚悟を決めた。

 小さな絨毯2枚を買った。1枚は2~300ドルの安い絨毯で現金で支払った。もう1枚を強く勧められたのだが、1000ドルという。そんな現金の手持ちがない。カードは持っていたが、扱っていないという。アメリカの対イラン経済制裁があるので、いずれにしてもアメリカ資本のカードは使えない。

ダルビッシュの父親のファルサさん

 また、お金の流れが記録で残るカードを商売人は避ける傾向もあるようだ。税金対策のためだろう。これで高い買い物はせずに済んだと思ったら、そのまま絨毯を日本に持って帰れという。日本から送金してくれれば、それで良いとの説明であった。日本人なら信用するからとも言ってくれた。

 そこまで言うならば、というので日本に絨毯を持ち帰った。東京の銀行で1000ドルを送金しようとすると、アメリカの経済制裁でイランへはドル送金ができないとの返答が、銀行の窓口の向こう側から戻ってきた。どうすべきかとメールで問い合わせると、ドイツの銀行に口座があるので、そこにユーロで送金を、との指示があった。

 しかし、

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