2011年12月21日
金正日逝去の影響を受けるのは、当然のことながら、李明博(韓国大統領)執政下の韓国である。李は、親族の不正といった政権末期特有のレーム・ダック現象を露わにしているけれども、この事態を「非常時」と位置付けることによって政権への求心力を高めようとするぐらいのことは考えているであろう。
また、韓国は、直近に至って、海上警察官の殉職を招いた中国漁船違法操業案件に絡んで中国、そして従軍慰安婦案件に絡んで日本と関係を悪化させているけれども、この期に及んでは日中両国との緊張を緩和せざるを得ないであろう。北朝鮮の「動揺」に直面した韓国には、日中両国との関係悪化を放置して、自ら孤立状態に追い込んでいる暇はない。
日本の対北朝鮮政策は、当面の間、「守勢」を旨としなければなるまい。日本の対朝政策の骨子は、「拉致・核・ミサイルを包括的に解決する」というものであり、それ故にこそ、「六ヵ国協議」という枠組の下での議論が、重視されたのである。
ただし、こうした対朝政策方針は、金正日という「権力の中心」が確(しっか)りと存在していることを前提としていた。訃報に接した小泉純一郎(元内閣総理大臣)は、「私は二回、金総書記と会談しているが、元気なうちに拉致問題、核、ミサイル問題を解決して、日朝(国交)正常化への道筋を付けたいと思っていた。残念だ」と語った。
「(金正日が)元気なうちに道筋を付けたかった」という小泉の所見は、誠に
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