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世襲を嫌う中国。北朝鮮の3代世襲で対米関係を強化する

藤原秀人 フリージャーナリスト

 中国共産党は台湾に逃れた国民党とは異なり、最高権力の世襲はしてこなかった。毛沢東主席の長男、岸英氏は朝鮮戦争で戦死した。鄧小平氏の長男、樸方氏は文化大革命中にひどい暴行を受けた。江沢民氏の長男、綿恒氏は政府機関の研究者だった。3世代の最高指導者はみな子供に後を継がせなかった。そもそも、中国では歴代専制王朝の悲惨な記憶から世襲が嫌われる。

 中華人民共和国建国から60年以上がたち、権力者や経営者の子供同士の婚姻によって、新たな特権階級も確かに生まれている。しかし、金正日総書記の死去で息子の正恩氏が最高指導者になる3代世襲は、今の中国では考えられないことである。

軍事訓練を視察した時の金正日総書記(中央)と金正恩氏(右)。視察日は不明(2011年12月13日、朝鮮中央通信の配信)

 また、中国の庶民は権力者が力やカネを子供に譲るのを、やっかみもあるが、大嫌いである。朝鮮戦争の戦死傷者やその関係者をのぞけば、北朝鮮の「金王朝」への批判は根強い。

 「核やミサイルを勝手につくれるのなら、支援なんかする必要はない」。ネットや世間話ではよくある指摘だ。だから、今回の北朝鮮の一大事に対する中国国民の視線は極めてクールといっていいだろう。

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