2012年01月07日
これにトルコは激しく反発し、フランスとトルコの関係が悪化している。アルメニア人団体などによると、第一次世界大戦中にアナトリア(トルコ半島)東部で150万人にも達するアルメニア人の大虐殺が行われた。トルコ政府は、多数の死者が出たことは認めているが、それは戦争の混乱によるものであるとしている。また、その数についても争っている。
フランス議会は2001年に、この虐殺を認定する決議を可決している。その際にもトルコとの関係が緊張した。背景にあるのは数十万とされる在仏のアルメニア系市民の存在である。この可決は、今春のフランス大統領選挙を前にしたアルメニア人票対策だとトルコでは見られている。
フランスにおいてアルメニア系市民は、著名なデザイナーや芸能人などを輩出している。古い世代ならば、シャンソン歌手のシャルル・アズナブールを知っているだろうか。「イザベル」とか「愛のために死す」などのヒット曲で知られ、何度も日本を訪れている。「私は外国に出るときはフランス人としてふるまうが、フランスではアルメニア人の代表として行動する」と自ら語るほどアルメニアへの思いは深い。あるいは「アイドルを探せ」という曲を1960年代にヒットさせたシルビー・バルタンもアルメニア系として知られている。
アルメニア人虐殺を各国の議会に認定させようとの動きで、次に注目されるのがアメリカである。アメリカのアルメニア人の人口は100万人強に過ぎないが、フランスの場合と同様に成功者を輩出している。
たとえばハリウッドの往年の二枚目スターのグレゴリー・ペックは、アルメニア系である。アルメニア人に言わせると、その顔の特徴は立派な鼻だそうである。またテニスの世界で活躍したアンドレ・アガシもアルメニア系である。
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