鈴木崇弘
2012年01月11日
2011年3月11日に起きた東日本大震災は、地震と津波、さらに原発事故という複合災害だった。それは、日本が、豊かでいい国であり助け合いのある社会だが、脆弱であり、災害といつも隣り合わせにいる災害多発国であることを再認識させた。
今回の災害では、日本人の助け合いと優れた国民性への高い評価があったが、もう一つ高く評価されたものがある。それは、災害救助で大活躍し、多くの人命を救い、多数の被災者の生活や甚大な被災地の復旧に多大な貢献をした自衛隊の活躍だ。
私が被災地を訪れた際にも、現地には、現地の人々もボランティアもおらず、自衛隊員だけがガレキなどの片づけや道路整備などのために黙々と活動し、被災者の方が「自衛隊さんには、大いに助けられた」と言われていたことが、非常に印象に残った。
今回のような災害における直接の被害地域では、ボランティアや行政のどのような人材でも全く歯が立たなかったのが現実のようだ。また甚大な被害地では、道路が断たれ、食糧や水も得られず、兵站なども独自に対応できないと、現地では活動できなかった。その意味では、自衛隊以外に対応できる組織や人材がいなかったのは明白だった。ただ自衛隊も、災害だけが任務ではないし、広域災害では人員的にも制約があろう。
このように、日本は災害多発国であり、大災害では自衛隊のような訓練を受けた人材しか活躍できにくいし、自衛隊にも制約があるといえる。
このことから、一つの提案をしたい。
それは、自衛隊の有するノウハウを活かして災害救助に活動をした組織(災害救助隊)を日本に創設することだ。そして、たとえば日本人で20歳になった時や大学卒業時などに男女にかかわらず、心身などに制約がない限り半年~1年間入隊し、災害救助の訓練を受けるようにするのだ。
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