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 2012年。日本が浮上するためには、どうすべきか。

 「人材の流動化を促進させるために、道州制の導入を急ぐ」、これが筆者の主張だ。

 その第一弾として、九州と北海道を道州制の先進地域に選定し、様々な実験を行ったらどうか。

 道州制は、日本を9~13の地域に大きく区割りして、それぞれ個性を出すというもの。全ての準備が整うには、だいぶ時間がかかる。しかし、日本の活性化を考えると、待ったなしの状態だ。ならば、実験特区として、「まずは、やりなはれ」が大事となろう。

 特に民主党は、道州制を掲げてきたのだから、政権任期の折り返しを過ぎたこのあたりで試すべき、次の一手となる。

 その変化の芽としては、

(1)大阪都の誕生、楕円形政治への移行

(2)子育て特区への期待~移住促進

(3)働き方を変える~夏派、冬派

 などが挙げられる。

 また、こうした施策の具現化には、

(4)海外目線、外国人視点

 が欠かせない。

 そうした話を、新春らしく、一年の計として、まとめてみたい。

(1)大阪都の誕生、楕円形政治への移行

 橋下徹・大阪市長の誕生により、大阪都の実現が具体性を帯びてきた。

 大阪都、あるいは大阪維新の会の活躍は、地域政党の躍進、また、それら地域政党間の連携の模索へと拡がり、民主党や自民党には一定のプレッシャーとなる。

 大阪都のさらなる先には、関西圏での広域連携、あるいは道州制を睨んだ動きが予想される。

(橋下市長は2011年12月中旬、次期衆院選は「道州制」「首相公選制」が争点になるとメディア等でコメント。今年1月4日の新年互礼会でも、財界人に対し、道州制実現に財界人も勝ち馬を作れとはっぱをかけた)

 民主党は、そうした動きを、指をくわえて眺め、追従するよりは、自らが本来主張していた道州制の実現に向け、舵を取り、一歩前に出るということが求められよう。

 ここで言う「楕円形政治」とは、東京での一極集中、あるいは首都圏と関西圏の二重同心円の回避、是正を意味する。

 首都機能も、あらゆるリスクに備えて、第一首都、第二首都などを掲げる時代となろう。

 それは、高度に発達したサプライチェーンが、自然災害や事件事故発生時に混乱しないよう対策を講じるのと同様、これからの安全安心には欠かせない。

 かつて、一極集中の是正や首都直下地震への対応なども含め、遷都という発想があったが、予算や膨大な手間を考え、挫折、断念した経緯がある。

 これからの大阪都は、東京都を補佐し、いざという時に、日本の中枢として機能できるよう、再構築することが望ましい。

(これには、東京都をハブとし、各地方をスポークとして、ICT=情報通信技術でつなぐ手法もあるが、より現実的に、東京と大阪を二つの重心として、日本を再構築することが望ましい)

(もっとも、現段階で、大阪都は東京都の胸を借り、首都圏の中の地方という位置付けの東京都と共闘する形だが、将来的には、「大阪vs.東京」が鮮明になってこよう)

(たとえば、東京-大阪市間がリニア新幹線で繋がる2045年までの間、両都市の間に位置する名古屋はより大阪に近い経済圏であるが、将来的には東京を選択するか、大阪を選択するかが問われてくる)

(2)子育て特区への期待~移住促進

 次に、子育てに望ましい環境を整備した特区の創設によるメリットが挙げられる。

 これから、どんどん日本の人口が減少するようになると、人材確保が難しくなってくる。そのとき、企業がより良き人材を求め、地方にサテライトオフィスや研究開発拠点を再構築する時代が到来する。

 たとえば、欧州だと、避暑地として有名なレマン湖(スイス)やコモ湖(イタリア)周辺には、企業や学術研究機関などが集積する。これらを参考に、日本でも、九州や北海道などの風光明媚な拠点都市が子育て特区として整備されることを期待したい。

 居住環境としては、持ち家から借家へ、あるいは、都心ではマンション、地方に一戸建てなどのライフスタイルとして提唱していくことが肝要だ。

 既に、ICTが高度に発達し、遠隔地とのビデオチャットなどが可能になっている。大学の先生でも、日本にいながらにして中国や欧州の講義を受け持つスタイルが広がっている。

 自宅勤務が可能なビジネスパーソン向けに、さらに一歩進めたCSR(企業の社会的責任)のあり方としても、検討可能である。

 そのためには、魅力的な移住先を創っていくことが先決となる。各自治体には、新しいコミュニティのワークスタイル、ライフスタイルのグランド・デザイン提示が求められる。

 特に、子育て移住で最も重視される医療と教育面でのサポートを充実させることだ。

 子どもが小さいうち、あるいは、中学高校の時期に、地方拠点の豊かな自然、ゆとりある環境の中で学ばせ、父親は、必要に応じて東京などに出張する。

 また、希望する場合、子どもの大学受験などの準備として、都内に師弟寮や寄宿舎といった拠点を確保するなどは、個別企業が検討できよう。

 そうしたライフスタイル、ワークスタイルの再設計が重要となる。

 さらに、こうしたコミュニティ・デザインが進化すると、実は、高齢者移住などでは、冬暖かく(九州)、夏涼しく(北海道)という発想ができる。

 その場合、高齢者の持ち家の在り方、あるいは、新たな企業等により、それぞれが持っている家のリロケーション・ビジネスへの進出といった考えも生まれてこよう。

(3)働き方を変える~夏派、冬派

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筆者

林志行

林志行(りん・しこう) 林志行(早稲田大学大学院経営デザイン専攻教授)

【退任】早稲田大学大学院経営デザイン専攻教授。1958年生まれ。筑波大学博士課程満期退了。黎明期の金融工学の理論研究の後、大手シンクタンクの創設に関わり、経営戦略コンサルティングなどで活躍、2003年に独立。(株)国際戦略デザイン研究所代表。東京農工大学大学院教授(経営戦略論、リスクマネジメント論)を経て、2010年より現職。新聞、雑誌、ウェブなどにコラム連載。著書に「マザー工場戦略」(日本能率協会マネジメントセンター、2009年)など。

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