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米大統領選の隠れた論点「モルモン教」の信者は何を考えているか

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 共和党の大統領候補の指名争いが激しくなってきた。1月に入ってからの投票結果が、ミット・ロムニー元マサチューセッツ知事が優勢との事前の世論調査をくつがえした。まずアイオワ州の投票では、同州の選挙管理委員会が当初はロムニー候補の僅差での勝利と発表した。しかし、その後にリック・サントラム元上院議員の勝利へと訂正した。

 次のニューハンプシャー州の予備選挙はロムニー候補が制した。しかし、21日の土曜日に投票が行われた南部のサウスカロライナ州での予備選挙では、ニュート・ギングリッジ元下院議長が予想に反して圧勝した。

 これで3州で3人の候補が勝利を収めたことになる。ロムニーの勢いにかげりが見える。予備選の行方は、混沌としてきた。この状況を受けて、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事の出馬を求める声も高まっている。

 ジェブ・ブッシュは、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟である。そのフロリダ州での1月31日の予備選挙がロムニーにとっての正念場となるだろう。選挙戦が激しさを増すにつれ、ロムニー候補の宗教であるモルモン教に注目が集まっている。実は、これが共和党の指名争いの隠れた論点の一つである。

ニューヨークのタイムズスクエアに登場したモルモン教の巨大広告=2011年6月

 まさに、この時期にアメリカの世論調査機関のピュー研究所がモルモン教徒に関する世論調査を公表した。モルモン教徒自身は、どうアメリカ社会での自らの姿を見ているのだろうか。1月12日に公表されたモルモン教徒の自己認識に関する調査の内容を紹介しよう。

 ピュー研究所の調査によると、多くのモルモン教徒は、アメリカ社会で誤解され差別されていると感じている。しかし、モルモン教は受け入れられつつあり、アメリカはモルモン教徒の大統領を選ぶ準備ができていると考えている。具体的な数値を以下に紹介する。

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