2012年02月07日
その橋下氏は、「(国の統治機構を変えるには)道州制と首相公選制でしょう」と主張し、その結果「首相公選制」が最近注目を集めている(注1)。その一つの表れとして、たとえばみんなの党の渡辺喜実代表が、橋下氏と次期衆院選で連携し、党勢拡大を狙うために、「首相公選法案」(注2)を今国会に提出する考えを表明している。
首相公選制は国民が首相候補を直接投票する制度だが、これまでにも何度も議論されてきた。たとえば近年では小泉純一郎首相(当時)が同制度の導入について前向きに発言し、実現に期待の声が高まった。その後首相が毎年コロコロと変わることから、別の観点から、首相公選制が議論されてきたが、橋下氏の問題提起で、その議論が再燃しているといえる。
では、ここで、まず首相公選制の長所を考えてみよう。
(1)国民・有権者の観点
・国民・有権者の意志を直接反映できる。
・直接投票なので、有権者に主権者としての自覚を促進させることができる。
・より直接国民と向き合うこととなり、政治への不信感を解消する可能性が生まれる。
(2)首相の資質や行動
・国民の直接の支持をもてる。その支持に基づき、議会に妥協せず、思い切った改革が実行できる可能性が高い。
・派閥政治や国対政治などに長けた者ではなく、国民に信用されている真の政治家が活躍できるようになりうる。
・有能であれば、議員にならずともまた政党に参加しなくとも、首相になりうる。
(3)議会や行政の関係
・内閣(行政)と議会の位置づけが明確になる。その結果、各議員も信念に基づく行動をとりやすくなりうる。
・議会と行政との癒着や談合、なれあいが減る。その結果、国会審議も活性化する。
次に首相公選制の短所あるいは問題・課題について、考えてみよう。
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