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勢いだけで「首相公選制」を導入しても…

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 橋下徹大阪市長の動きが止まらない。それは、大阪、関西にとどまらない。同氏が代表を務める「大阪維新の会」は、次期衆議院選で300人規模の候補者擁立に向けて準備を進め、200議席を確保することを目指す方針を打ち出している。多くの既成政党はそんな橋下氏に秋波を送り、国政における政界再編への起爆剤になりつつある。

 その橋下氏は、「(国の統治機構を変えるには)道州制と首相公選制でしょう」と主張し、その結果「首相公選制」が最近注目を集めている(注1)。その一つの表れとして、たとえばみんなの党の渡辺喜実代表が、橋下氏と次期衆院選で連携し、党勢拡大を狙うために、「首相公選法案」(注2)を今国会に提出する考えを表明している。

 首相公選制は国民が首相候補を直接投票する制度だが、これまでにも何度も議論されてきた。たとえば近年では小泉純一郎首相(当時)が同制度の導入について前向きに発言し、実現に期待の声が高まった。その後首相が毎年コロコロと変わることから、別の観点から、首相公選制が議論されてきたが、橋下氏の問題提起で、その議論が再燃しているといえる。

 では、ここで、まず首相公選制の長所を考えてみよう。

(1)国民・有権者の観点

・国民・有権者の意志を直接反映できる。

・直接投票なので、有権者に主権者としての自覚を促進させることができる。

・より直接国民と向き合うこととなり、政治への不信感を解消する可能性が生まれる。

(2)首相の資質や行動

・国民の直接の支持をもてる。その支持に基づき、議会に妥協せず、思い切った改革が実行できる可能性が高い。

・派閥政治や国対政治などに長けた者ではなく、国民に信用されている真の政治家が活躍できるようになりうる。

・有能であれば、議員にならずともまた政党に参加しなくとも、首相になりうる。

(3)議会や行政の関係

・内閣(行政)と議会の位置づけが明確になる。その結果、各議員も信念に基づく行動をとりやすくなりうる。

・議会と行政との癒着や談合、なれあいが減る。その結果、国会審議も活性化する。

 次に首相公選制の短所あるいは問題・課題について、考えてみよう。 ・・・ログインして読む
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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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