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日本は民主主義の国なのか?――新しい社会を構想するための本

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 日本はいかなる国なのか。我々はそのような疑問について日頃考えることはほとんどない。

 だが、子どものころから、学校で、「国民には選挙権があり、立法・行政・司法の三権が分かれていて、相互にチェック・アンド・バランスが効いていて、一つの権力が暴走することはない。日本は、このような民主主義の国だ」と教えられてきたし、多くの国民は、そう信じている。

 だが、筆者は、特にこの5、6年は「本当にそうかなぁ。日本は民主主義の国なのかなあ」(注)と疑問をもつようになってきていた。

 そのような中で、最近『日本国の正体 政治家・官僚・メディア――本当の権力者は誰か』『「国会原発事故調査員会」立法府からの挑戦状』という本を読んだ。

 前者は、安倍・福田政権に深くかかわったジャーナリスト、長谷川幸洋氏の自戒を込めた書。

 日本の政治や政策は、国会ではなく行政がつくり、回していること。メディアは、日本という民主主義国家で、国会が重要な役割を果たしているという仮説に基づいて報道している。しかし、その実態は、行政が牛耳っており、本来の理想とは異なっている。政策や政治に関する情報も、行政によって操作され、メディアは行政の情報伝達機関のような役割を果たしているに過ぎない。著者は、自分自身もそのような役割を担ってきたと告白している。

 本書に書かれた、日本の政治や政策の実態はまさに、日本が民主主義社会でないことをジャーナリストの視点から描いている。

 後者は、

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