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大阪維新の会には外交・防衛のアドバイザーが必要だ

小谷哲男

小谷哲男 小谷哲男(NPO法人岡崎研究所特別研究員)

 大阪維新の会の躍進がめざましい。民主党と自民党の支持率が20%前後で低迷しているのに対し、橋下徹市長が代表を務める維新の会の国政への進出を支持する声は60%近くある。2011年11月のダブル選挙で勝利を収めたのは、何よりも閉塞感を打破できない既存の政党への不信と不満を吸収したからである。維新の会の政治塾には3000名を超える応募があり、次の衆院選挙で国政の場に躍り出て大きな勢力となる可能性が高い。

 しかしながら、国政進出を念頭に維新の会が出した維新版「船中八策」(維新八策)の概要には首をかしげざるを得ないところがある。首相公選制や参議院の廃止、年金の掛け捨てなどの急進的な内容にすでに多くの批判が出ているが、外交・防衛については日米同盟基軸を打ち出しているため「現実的」というのが大方の見方である。

 しかし、外交・防衛を生業としている筆者からみれば、この点こそが維新の会の最大の弱点となるように思える。

 以下、これまでに報道されている「維新八策」の外交・防衛政策について検討してみる。

●自主独立の軍事力を持たない限り日米同盟を基軸

 これは50年前までの議論であり、今日では本末転倒である。日米同盟を堅持する中で、日本の軍事力をより一層高めることが何よりも今求められていることである。日米同盟の前提は、アメリカの圧倒的な軍事力と日本の憲法9条という制約であった。しかし、50年前とは異なり、アメリカの軍事的優位性は絶対的なものではなくなってきており、アメリカに依存するだけでは日本の安全保障はもはや成り立たない。9条問題を含め、日本の軍事力のあり方の再検討は不可欠である。

●加えてオーストラリアとの関係強化

 これは自民・民主党政権で推進されてきた既定の路線であるが、なぜオーストラリアだけなのか疑問である。インドや韓国、ASEAN諸国さらにはEU/NATOとのさらなる連携が求められている。

●日米豪で太平洋を守る、日米豪での戦略的軍事再配備

 日米豪を強調する理由は、在日米軍、特に在沖海兵隊をオーストラリアに移駐させることにあるのではないか。それでは北東アジアの抑止力の維持に問題がある。さらに、日本の安全保障にとって死活的なインド洋を守ることにも触れるべきである。

●2006年在日米軍再編ロードマップの履行

 アメリカは恒常的に太平洋での戦力見直しを行っている。明らかにアメリカの太平洋戦略は変容しつつあり、ロードマップは再検討されるべきである。また米軍再編とパッケージである同盟の任務・役割・能力の見直し協議も同時に行われなければならない。

●同時に日本全体で沖縄負担の軽減を図る更なるロードマップの作成着手

 これは鳩山政権時の「最低でも県外」と同じ発想ではないのか。沖縄に過大な期待を抱かせるだけではないか。橋下市長は知事時代に普天間の基地機能を関西空港で受け入れる用意があると表明したことがあるが、そのためには地上部隊も関西で受け入れ、1975年以降米艦船の寄港を拒否している神戸港を使用できるようにすることが最低条件であることを理解しているようには思えなかった。

●日米地位協定の改定、対等に

 これも鳩山政権が「対等な日米関係」の条件として挙げたものである。日米地位協定自体は改定されてはいないが、その運用は大きく改善されている。そもそも、対等な地位協定など存在しない。日本がジブチと結んでいる地位協定も、日本側に有利なものとなっている。

●国際標準の国際貢献の推進

 あからさまに言えば、「国際標準」とは兵隊が死ぬことである。その覚悟はあるのだろうか。

●国際貢献する際の必要最低限の防衛措置

 国家の命令で命をかける兵隊には、「必要最低限」ではなく、必要十分な防衛措置を認めるべきである。

 橋下市長の高校の後輩として、失礼を承知で言わせていただくが、外交・防衛政策に関する限り、「維新八策」は ・・・ログインして読む
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筆者

小谷哲男

小谷哲男(こたに・てつお) 小谷哲男(NPO法人岡崎研究所特別研究員)

法政大学非常勤講師。1973年、兵庫生まれ大阪育ち。専門は日米同盟と海洋安全保障。日本国際問題研究所研究員及び平和・安全保障研究所研究委員を兼務。同志社大学法学研究科博士課程満期退学。米国ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。平成15年度防衛庁長官賞受賞。平和・安全保障研究所・安全保障研究奨学プログラム13期生。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

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