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鳩山さん、菅さん、ぜひ回想録を書き残してください

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 震災関連の15会議のうち、10会議において議事録がないことが判明したという記事が紙面をにぎわし、社会的耳目を集めたのはつい最近だ(注1)。

 このような重要な会議の議論や決定を社会情報として文字情報に残し、次の政策形成や政治決断に活かしていくことは、政策を深化、そして進化させていくためにぜひとも必要だ。

 また、先の記事「日本の政策形成の『暗黙知』を『形式知』に変える書籍リスト」(WEBRONZA、2010年11月15日でも書いたように、これまでの政策形成は外部からは見えにくく、わかりにくい状況だったが、近年、政策形成のインナープロセスに関わった方々が、その経験を基に書籍を出版されてきていて、政策形成における「暗黙知」が「形式知」にされる部分も生まれている。これは、政策形成をより民主的なプロセスに変えていくことでもあり、歓迎すべきことであると考える。

 さらに政治や政策における判断や決定とその結果は、世代や時代を超えて影響していく。その意味で、それに関わる責任者が当時どのように考え、どのように判断したかは、歴史的に検証できるようにされている必要がある。

 このような様々な要素を考えておくと、政治家、特に政治のトップリーダーである首相が、自分が政権に就いていた当時の行動や決断などをキチンと回想録として残しておくことは大切であり、彼らの責務であるともいえる。

 米国では歴代の大統領が、退任後、自身の回想録(メモワール)を残しておくのが通例だ。内容は、我田引水や自己弁護の部分が含まれるものもあるが、自身の政治決断を歴史的に検証、評価してもらいたいという意気込みが感じられるものも多い。

 他方、日本の政治家は

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