土井香苗
2012年03月22日
「コニー2012」を見た8000万の人々は、アフリカの武装勢力「神の抵抗軍」の創始者ジョセフ・コニー(Joseph Kony)が、大量殺戮により指名手配中の男であることを知った。我々ヒューマン・ライツ・ウォッチ(http://www.hrw.org/ja)は、これまで長年にわたり、このウガンダで結成された「神の抵抗軍」が、アフリカ大陸中央のウガンダ、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国および南スーダンで行ってきた戦慄の犯罪を調査してとりまとめてきた。
調査の過程で、私たちは、コニー率いる兵士たちが虐殺の現場に残した戦慄すべき証拠の数々――乾いた血に覆われた棍棒、犠牲者を縛るのに使われた自転車のタイヤのゴムチューブ、新しく掘られた墓地――を収集した。そして、コニーの軍隊で少年兵として戦わされた、あるいは性的奴隷として捕えられていた数百人にものぼる少年少女の話を聞いてきた。
そして、最近になって、ツイッター上で「#stopKony」のハッシュタグがトレンドトピックになったことをとてもうれしく思っている。コニー以上に世界で悪名高くなるべき人物はそうそういない。
コニーが率いる「神の抵抗軍」は、80年代半ばにウガンダ北部で結成された。ウガンダ政府に対して武装闘争に訴えた理由は、ウガンダ政府が北部地域を疎外したことなどにある。しかし、戦闘開始後間もなく、「神の抵抗軍」は子どもを拉致して恐怖に陥れ、かつ、洗脳することでしか兵員を補給することができない、世界で最も残虐で無慈悲な武装グループのひとつに堕落した。
現在では、その戦力は、戦闘員はたった150人から300人、そして、そのほか数百人の捕われた子どもたちからなると見られる。2005年にはウガンダを離れ、「神の抵抗軍」は現在、コンゴ、南スーダン、および中央アフリカの辺境地域に拠点を移して活動している。そして、通過した場所の全てに死と破壊の痕跡を残し続けている。
つい先日も、「神の抵抗軍」はコンゴ北部の村々を攻撃した。コンゴ北部のこの村々の住民にとって「神の抵抗軍」からの攻撃は初めてではない。2008年末と09年初めも、865人の民間人の命を奪った大虐殺をはじめ、筆舌に尽くしがたい残虐行為に苦しんできた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチが作成した調査報告書「クリスマスの大虐殺」(The Christmas Massacres、http://www.hrw.org/reports/2009/02/16/christmas-massacres-0)の中で、我々は、865人の殺人に加えて160人以上の子どもの誘拐拉致についても報告している。
現地で調査を行ったヒューマン・ライツ・ウォッチのアネク・バン・ウーデンバーグ調査員は、茂みに隠れて生き残った72歳の老人の話が今も忘れられないという。老人は、
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