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尖閣を買っても、問題は解決しない

藤原秀人 フリージャーナリスト

 東京都の石原慎太郎知事がワシントンで、沖縄県の尖閣諸島の一部を都で買い上げる意向を表明した。2010年の中国漁船衝突事件の例を持ち出すまでもなく、尖閣問題は日中関係の地雷源である。日本政府は尖閣に領土問題は存在しないという立場であるが、中国と台湾は領有権を主張している。海軍力を強化する中国が尖閣諸島を占拠する可能性も指摘されるなか、民間で所有するより都が管理したほうが安全だという石原氏の理屈は、一見もっともらしい。

 都が購入の対象にしているのは尖閣諸島5島のうち、魚釣島、北小島、南小島の3島で、いずれも民間人が所有し、日本政府に貸している。都はすでにこの所有者と土地売買に関して基本合意しているという。石原知事は以前にも購入の意思を表明したことがある。あきらめていなかったのだ。

 しかし、国土の防衛は国の仕事である。都ができることではない。石原発言にあおられて野田政権は国有の可能性を示唆した。中国に弱腰だと歴代の政権を批判してきた石原氏としては、狙い通りであるかもしれない。

 一方で、石原発言は絶妙のタイミングで出たともいえる。

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筆者

藤原秀人

藤原秀人(ふじわら・ひでひと) フリージャーナリスト

1980年、朝日新聞社入社。外報部員、香港特派員、北京特派員、論説委員などを経て、2004年から2008年まで中国総局長。その後、中国・アジア担当の編集委員、新潟総局長などを経て、2019年8月退社。2000年から1年間、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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