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学生・社会人×民主若手議員 マニフェスト検証会議

WEBRONZA編集長 矢田義一

 政治というはある種のトレードオフの関係から逃れられません。あるいは、ジレンマ、コンフリクト、これなんですね。政治では、国土交通政策も大事です、文部政策も大事、農林政策も大事。だけども、あえてどれも大事な価値に、その時々の、あるいは、その3年間、4年間のプライオリティーを、あるいは、その案配を、ポートフォリオを示すのが政治だというふうに思っています。そして、マニフェストとはそういうことを示しているものだと思います。

拡大鈴木寛氏は「数字はウソをつかない。エビデンスに基づいた議論を」と語った

 民主党はマニフェストで、「コンクリートから人へ」ということを掲げました。これこそまさにトレードオフを示したわけです。結果どうなったか。私たちはですね、国交予算を3割カットしました。そして、教育予算を9%増やしました。あるいは、医療予算を13.5%増やしました。この間、OECDの教育大臣会合があって、リーマンショック以降、教育予算が増えている国は日本だけなので、なぜだと問われました。

 それには、こう答えました。「コンクリートより人が大事だということをマニフェストで掲げて、そしてその政党が政権の座についたので、できたのだ」。そうすると、「よく分かったと」と納得されました。

 ただ、それだけではありません。国土交通予算を3割切りましたけれども、建設業の雇用は、政権交代前と、たとえばこの4月でみると、1万人も変わっていない、ほぼ、完全に同じです。なぜそういうことができたのでしょうか。それは、大型の公共事業、例えば高速道路などは総公共事業費にしめる人件費の割合は1割です。一方で、たとえば学校耐震化。これは総事業費にしめる人件費の比率が3~4割あります。そうすると、同じ公共事業でもその中身をかえることによって3倍とか4倍の雇用をうむことができる。

 学校耐震化は政権交代前は67%でした。現段階で90%まで増やしています。ですから、しかも、高速道路のない町はいっぱいありますけれども、学校のない町はない。したがって、全国津々浦々に雇用をつくることができたということです。この結果、5.3%で引き継いだ失業率が、私が文部科学副大臣を辞める、ちょうど2年後、去年の9月に4.1%まで減りました。なぜできたのか。まさに、医療、福祉、教育、学習支援などに予算を振り向けたからです。その結果、90万人の雇用を新たに生むことができたからです。ただ、製造業は残念ながら減っています。産業構造の転換が進んでいるのです。その製造業で減る雇用を、医療、学習、福祉で補いつつ、建設業は現状維持をして、というような就業構造の転換に成功しました。

 しかしながら、4.1%まで下がった失業率は今、4.5%まで上がってきています。その理由は何かというと、子ども手当ての見直しです。昨年夏に3党合意で、子ども手当てを見直すことになりました。数字というのはウソをつかないですね。その後、教育・学習支援産業の雇用が、12万減りました。実は、政権交代から24万増えて12万減りました。しかしながら、この半年間で、医療・福祉の分野ではそれを上回るように雇用が増えたので、差し引き90数万人の雇用は増えているということが実際に起きていることです。

拡大マニフェストと政権交代の意義について語る鈴木寛氏

 私たちは、そもそもこういう雇用政策、あるいはそのための予算配分構造の改革をやりたいと申し上げて、マニフェストをつくりました。ところが、マニフェストをつくった時の税収は46兆円でありましたけれども、私たちが政権交代後の1年目の税収は37兆円に下がってしまった。このことのせいにだけはできませんが、「人へ」ということですから、例えば、子ども手当て、高校の授業料の無償化、これは今も続いています。

 それから大学の学習権の拡充ということにも取り組んだ。例えば、28年ぶりに大学の授業料減免者を増やしました。昭和61年以来ずっと下がっていたのを、これを右肩上がりにいたしました。私たちは、授業料を無償にする学生を1.7倍にふやすことになりました。さらに、奨学金も、134万人で、これも2割増です。また、「出世払い型奨学金」と言っていますが、ある所得に達さない限り返済をしなくていいという奨学金も新設しました。学習権の尊重ということは教育制度のなかで一番大事だと思っているので、実現させました。

 また、塾に行けるお子さんと行けないお子さんの学力格差がどんどん広がってしまっている。その改善のために、35人以下学級というものや、あるいは、生活保護世帯を多く抱える地域の中学校の教職員の加配措置など、この政権交代後、1万300人の教職員を増やしています。

 医療についても、たとえば、私たちは、開業医の診療医療報酬はあまり増やしませんでした。その代わり、命に直結する医療を行っている、救急とか、小児科、産科、そして外科、この4科目は、しかもですね、手術には5段階あるのですが、一番難しい手術については1.5倍、その次に難しい手術については1.3倍の診療報酬改定を行いました。これまで、診療報酬というのはずっと下げてきたのですが、それをほぼゼロベースにもどして、減らすところと、今言ったように増やすところと、まさに、トレードオフですが、メリハリを、ポートフォリオをかえて配分した。その結果、たとえば大学病院クラスの大きな病院の収入は8%増えました。そのことに医療崩壊が下げ止まっている。まだ、改善まではむずかしいですけれど。

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