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オスプレイの配備には独自の安全検証と普天間移設が不可欠だ

小谷哲男 小谷哲男(NPO法人岡崎研究所特別研究員)

 米軍の最新型輸送機「オスプレイ」の沖縄県米海兵隊普天間飛行場への配備に暗雲が立ちこめている。海兵隊仕様のオスプレイ(MV-22)は今年秋までに普天間飛行場に配備される予定だが、沖縄の県民感情に配慮して、山口県の米軍岩国基地でまず機体の安全性について確認作業を行うことになっている。

 ところが、MV-22は4月にモロッコでの演習中に兵士2名が死亡する墜落事故を起こしている。さらに、日本政府が山口県と岩国市へのオスプレイの安全性に関する説明を行っている最中の6月13日に、空軍仕様のCV-22が米フロリダ州の空軍基地で訓練中に墜落した。米軍はオスプレイの機体の安全性には問題はないとの姿勢を貫いており、オスプレイの日本配備も予定通り行う意向であるが、沖縄県と山口県がオスプレイの受け入れを拒否する姿勢を強めている。

オスプレイの配備中止を森本敏防衛相に申し入れる仲井真弘多・沖縄県知事(中央)と佐喜真淳・宜野湾市長(右)=2012年6月19日、国会内

 米軍は長年、垂直離着陸・ホバリング(空中停止)・超低空での地形追従飛行が可能なヘリコプターと、航続距離が長く速度も速い通常の固定翼機の両メリットを兼ね備えた航空機を求めていた。米軍は70年代から回転翼の角度が変更できるティルトローター方式の垂直離着陸機の研究を本格化させ、80年代にオスプレイの開発が始まった。

 オスプレイはまさにヘリコプターと固定翼機の両方のメリットを兼ね備えており、長い滑走路を必要とせず、高い輸送能力を誇るため、海兵隊や空軍の特殊部隊の輸送に特に有用である。オスプレイはベトナム戦争時代のCH-46ヘリコプターの後継機であるが、その最高速度は時速550キロを超え、高速ヘリコプターの1.5倍である。また、航続距離は空中給油などを併用すれば、最大で3700キロ以上となる。

 だが、オスプレイは試作段階から事故が目立ち、「未亡人製造機」という悪名を持っている。1991年から2000年の間に4機のオスプレイが試験飛行で墜落し、30名の命を奪った。01年から05年に製造企業のベル社とボーイング社は改良を重ね、現行の「オスプレイ・マークII」を開発した。このオスプレイ・マークIIは07年にイラクに、09年にはアフガニスタンでの実戦に投入された。11年には殺害されたオサマ・ビンラディンの遺体を洋上の空母に搬送している。

 11年の時点で、海兵隊はオスプレイの事故率は飛行10万時間中2件で、海兵隊の他の航空機の事故率(飛行10万時間中2.6件)を下回っていると説明していた。だが、この数字に関しては、「A級」の深刻な事故(死亡事故または200万ドル以上の損害額)しか含めておらず、空軍仕様機の事故が含まれていないという指摘がある。

 オスプレイ開発にとって最大の課題は、エンジンであった。オスプレイは海兵隊が中心となって設計したため、強襲揚陸艦に搭載されることを前提としている。できるだめ多くのオスプレイを搭載するため、その機体を極限まで小さくせねばならず、回転翼も折りたたみ式となった。回転翼は当初の設計よりも1.5メートル短くなったため、搭載するエンジンには6200馬力という非常に高い動力が求められることになった。海兵隊が保有する最大のCH-53ヘリの動力が4400馬力であることからみても、エンジンにかなりの負担がかかることがわかる。また、オスプレイはその複雑な機体のデザインのため、油圧系統も入り組んだものとなっている。

 オスプレイの機体に問題があるのかどうか、軍事機密の壁に阻まれその真実を知ることは容易ではない。しかし、新しい軍用機の導入に事故はつきものであり、高い事故率はオスプレイに限ったことではない。垂直離発着型戦闘機ハリヤーの事故率も当初は非常に高いものであった。

 また、新しい軍用機には訓練のプログラムの向上が不可欠であるが、オスプレイのパイロット訓練にもまだまだ改善の余地があろう。軍用機の運用は、失敗を重ねてより安全なものになるのである。

 オスプレイは米海兵隊に絶対不可欠な装備である。オバマ政権はその「アジア重視」戦略の中で海兵隊を重視し、アジア太平洋への分散配備を進めている。分散された海兵隊には機動力の向上が不可欠であり、オスプレイは機動力向上の鍵である。21世紀の海兵隊にとって必要とされる装備のうち、次世代水陸両用強襲装甲車両の開発が中止となり、海兵隊仕様のF-35Bの開発も遅れている。その上、オスプレイまで導入が遅れることになれば、海兵隊が今後地域の平和と安定に貢献することは難しくなるだろう。ひいては日本の安全保障にも悪影響を及ぼす。

 日本としては、二つやるべきことがある。まず、

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