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小沢一郎氏の“最終兵器”――参院が日本の政治をだめにする

後藤謙次

後藤謙次 後藤謙次(フリーの政治コラムニスト、共同通信客員論説委員)

 「参院を笑うものは参院に泣く」。国会の隅から隅まで知り尽くしていた竹下登元首相はしばしばこう漏らしていた。参院は議員任期が6年で、しかも3年ごとの半数改選。容易に議席の入れ替えができない。その上、衆参では独特の文化の違い、議員心理のギャップもある。竹下氏自身も1989年4月に消費税を初めて導入したものの、3カ月後の参院選で自民党が大惨敗。消費税廃止法案が、参院だけにとどまったとはいえ、可決され首筋が寒くなったことがあった。

「造反」後、会見する民主党の小沢一郎元代表=2012年6月26日、東京・永田町

 逆に92年の自民党竹下派分裂劇では、反竹下だった小沢一郎氏を少数派に抑え込んだ原動力は参院にあった。竹下氏が参院竹下派を完全掌握していたからだ。分裂前の参院竹下派42人のうち小沢氏と行動をともにした議員はわずか5人。衆院では小沢氏側が8人上回っていたが、大差で派内抗争に敗れ、やがて自民党離党につながっていく。

 この苦い教訓がやがて小沢氏の「参院重視」の政治手法を生んだ。2009年の政権交代も、2007年参院選での民主党代表だった小沢氏の采配による民主大勝が基礎となった。

 社会保障と税の一体改革をめぐる小沢グループの造反劇で、東京・六本木のANAホテルに小沢グループ議員が集結する姿がテレビで報じられていたが、実は衆院と並行するように東京・紀尾井町のホテルニューオータニには小沢グループの参院議員が密かに集まっていた。この参院議員の固まりが

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