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【復興リーダー会議】伊勢崎賢治氏 復興をリードする上位概念を

WEBRONZA編集長 矢田義一

■政府の失策は歴史的に糾弾されるべき

 僕は、原子力の専門家ではありませんが、国際紛争の現場での危機管理というのは、体に染みています。その観点からいうと、福島第一原発で水素爆発が起こったのだから、とにかく逃げるしかなかったでしょう。

 そして、的確に逃げるためには放射線量の細かい測定とその情報の伝達が決定的に重要だったのに、政府はまったく逆のことをやった。水素爆発の直後は情報を隠蔽し、その後は雑に半径で区切るという、場当たり的な避難しかさせられなかった。この点では、政府の失策がもたらした被爆として歴史的に糾弾されるべきではないかと思います。

■人間は必ず復興する

 国際紛争の現場に長く身を置いていると、戦争やっているところに地震、津波が来るというダブルパンチという例も見聞します。ミンダナオやハイチがその例です。前者では、20万人犠牲になった。人口200万人のハイチでは30万人亡くなった。

 しかし、そんなところでも人間は復興します。NGOなども殺到するが、人間の極限のところでの底力を見せつけられます。社会が焦土と化しても、がれきから、難民キャンプから、細々ではあるけれど社会活動が始まるのです。誰に言われるのでもなく。日常品の単純な売買、闇市のようなものは、焼け跡では必ず始まります。

 何の支援なくても、誰でもやります。ましてや、日本人です。政府がアホでも、無政府状態でも、政府がいようがいまいが、日本人は市民として自力で復興するに決まっています。だから、東北の復興そのものを心配する必要はありません。問題は復興のやり方によってもたらされる国の在り方です。そっちの方が問題です。

■困難から踏み出す上位概念を

 不謹慎のそしりをおそれずに言えば、大災害は国家体制を根底から変革する大きなチャンスです。インドネシアのアチェでは、28年間続いたアチェの独立派と、インドネシア人との内戦を津波が終結させました。ハイチでは一部の裕福な権力者とマフィアが内戦を続け、ほとんど破たん国家でした。復興は困難を極めますが、地震で、悪い奴らも同時に基盤を失った。

 ただ、大きな困難のなかから復興に踏み出すには、そのための上位概念が決定的に大切です。

 少子高齢化、過疎化、不況、失業、政治と金、財政はたん、無駄な公共事業、民主主義というよりもほとんどポピュリズムに堕した政治……。震災前から停滞していた日本を表すこれらのキーワードのどれを足がかりに、これからの復興を構想する際の上位概念を導きだせるのか、まだ分かりません。

 少なくとも、単なる復旧がそれになることはないでしょう。少子高齢化、財政難などが進むことは必至です。以前のように、拡散していた住居を集合化して、インフラ整備を集約化、軽微なものにする。その結果、市町村の合併が進むことになるのではないでしょうか。

 また、復興断念、もしくは、無居住地化、これを進める地域が出てくる

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