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「1億円恐喝事件」の人間模様――原辰徳監督は来季も続投できるのか?

小北清人 朝日新聞湘南支局長

 巨人の原辰徳監督が、とんでもないことになりました。言うまでもなく、「週刊文春」が火をつけた、例の「1億円恐喝事件」のことです。

 ことの根源は1988年ごろ、巨人の「若大将」と呼ばれ、大スターだった原選手が、巨人が関西遠征時に定宿にしていたホテルのアルバイト従業員の女性と不倫関係になったことでした。このことは原監督自身も認めています(ちょうど、夫人が長男を出産した年でした)。

 ところが、それから18年ほども経った2006年8月、つまり原監督が2度目の巨人監督に就任して最初のシーズンということになりますが、2人組の男から「女性が当時のことを書いた日記がある。表に出さないようにしてやるから1億円を出せ」と要求され、球団に知らせずに1億円を自分で都合して払ったということです。

 不倫というだけでも、さわやかイメージの原監督には大変なイメージダウンです。とりわけ女性ファンの反発は当然でしょう。

 しかも、1億円を要求したこの二人は当時、現役の暴力団員と元暴力団員といわれています(巨人軍は「原監督には相手が反社会的勢力であるという認識はなかった」などと説明しています)。となれば、「暴力団との金品授受を行ったら失格」という野球協約にも反することにもなり、原監督の野球人としての資格が問われる事態になりかねません。

 それにしても、原監督が1億円の要求にあっさり応じたのはなぜか。「日記」には何が書いてあったのか。

 取材によると、「脅し」に関わったのは3人でした。まず、「日記」を手に監督から大金を脅し取ろうと計画したとされる当時暴力団幹部だったО氏。О氏の舎弟で原監督と接触しようとした「商売上手」のH氏(07年死亡)。そしてH氏から「原監督に会う方法はないか」と相談されたK氏です。実際に原監督と会ったのは、そのH氏とK氏でした。

 H氏がK氏に相談したのは、K氏の息子が現役のプロ野球投手で、原監督に接触できる人脈を持つと思われたからのようです。K氏はかつて新宿・歌舞伎町で風俗店を経営、摘発歴もある暴力団関係者でしたが、カタギになったのを機に静岡県熱海市に移りました。2005年から、長じゅばん姿の女性コンパニオンによる濃厚サービスが売り物の旅館を始め、いまに至っています。「熱海では数少ない、儲かっているホテル」なのだそうです。

 問題の女性の「日記」を読んだというK氏の知人は、こういっています。

 「日記には、原さんとの濃密な愛情関係のことがいろいろ書かれていた。自分がどれほど原さんを好きかといろいろ書き連ねてあった。妊娠したが中絶したとも記されていた。原さんと彼女が別れるにあたり、段取りをつけたのが当時の同僚選手A。ところが、そのAがこんどは彼女と関係ができてしまい、それに原さんが激怒、2人の関係は悪化したという。それだけでなく、Aの次は

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