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「ポピュリズム」「アンチ」としての小沢新党の政策

恵村順一郎

 民主党を除名された小沢一郎氏を党首とする新党「国民の生活が第一」が7月11日、旗揚げした。結党大会では、予定していた基本政策の発表が間に合わないという「見切り発車」となったが、小沢氏が大会あいさつの中で触れたその骨格から、新党の政策・理念が意味するものを読み解いてみたい。

 キーワードは「ポピュリズム」と「アンチ」である。

 「東日本大震災被災地をはじめとする地方の復興、生活の再建」「地域主権確立のための行財政の抜本改革」「スケジュール感をもった経済対策」など、だいたいこんな感じかなと思えるような項目が並ぶなか、目を引くのはやはり「反消費増税」と「脱原発」のふたつだ。

 「反消費増税」は、消費増税法案を修正合意した民主、自民、公明3党に対するアンチである。小沢氏は、3党合意は「野合」であり、「国民から政策の選択肢を奪うことだ」と厳しく批判した。

 確かにその通りである。いまの国会では、民自公3党が合意しさえすれば、どんな法案でも成立させられる巨大な「数」がそろう。小沢新党がみずからをそれにたいする対抗勢力だと位置づけるということなら、それ自体は本来、歓迎すべきことなのかもしれない。

 だが、そうすんなりとはいかないのが小沢氏である。

 消費増税についていえば、小沢氏は1993年の著書『日本改造計画』で10%へのアップを唱え、1994年の細川政権では7%の国民福祉税創設導入に動いた過去がある(『日本改造計画』では所得税・住民税を半分にすることも付記している)。小沢氏はもともと消費増税論者だったのだ。

 また、小沢氏は大会で「増税の前にやるべきことがある」と何度も強調した。「やるべきこと」をしっかりやるのは当然のことだ。しかし同時に、今の日本の財政の惨状を考えれば、負担増も避けて通れるはずがない。

 過去3年近く政権にいた小沢氏なのに、どの予算のどこを削れば増税が要らないほどの新規財源が生み出せるのか、具体的な話を聞いたことがない(とくに鳩山政権の9カ月は幹事長だった)。これでは、負担増を嫌う大衆への迎合、つまりポピュリズムと批判されても仕方がない。

 「脱原発」は、大飯原発の再稼働に踏み切った野田政権に対するアンチである。長く政権の座にあり、「原子力ムラ」を形作った自民党へのアンチでもあろう。

 小沢氏は「再稼働には疑問がある」としたうえで、「原子力は過渡的エネルギーと位置づけ、原発に代わる新エネルギーの開発に努める『脱原発』の方向性を鮮明にする」と語った。

 この主張を聞く限り、私自身、まったく違和感がない。

 だが、これもそう一筋縄ではいかない。

 小沢氏が「脱原発」を本気で志向するのなら、なぜ

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