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日本一地味な表彰「選管アワード」で選挙を変える

高橋 茂

 日本全国の選挙と政治家のデータベースサイト『ザ選挙』では、2012年5月から「選管アワード」という企画を始めた。第1回となる5月度の受賞は東京都福生市選挙管理委員会(選管)で、6月度は東京都港区選管だった。この賞は、選挙時の情報発信が優れている選管に贈られる。

 選挙期間中に候補者や有権者がインターネットを使った選挙運動ができないということはよく知られている。しかし、立候補者や選挙結果の情報が選管ホームページに掲載されるかどうかの決まりはなく、載せ方もバラバラであり、立候補者情報が掲載されるところはまれで、選挙結果が迅速に掲載されるところもまだ多くはない。

 『ザ選挙』では、任期満了になる自治体や補選が行われる自治体の情報収集から始める。「選挙がどこでいつおこなわれるか」といった情報自体がどこにもまとまっていないのだ。

選管による一般的な開票風景

 次に、当該自治体のサイトを見て選挙情報が掲載されそうかどうか確認する。以前の選挙結果が掲載されていれば、今回も掲載される可能性が高いが、全く選挙に関する情報が無ければ今回も掲載される可能性は低い。そこで、選管に電話をして、告示日に立候補者一覧を送ってもらう手はずを取る。

 告示日になり、立候補者が確定した時点でも情報が送られてこなかったり、サイトにも掲載されない場合、選管に電話して情報を送ってもらう(たいていはFAX)。最近ではほとんどの自治体が気持ちよく送ってくれるが、中には「ネットメディアには送らない」「個人情報だから送れない」さらには「はいはい。送りますよ」と言ったままいつまでたっても送ってこない選管もある。

 有権者が投票しようとする場合、はたして何の情報を見るのか。新聞の地元欄には、候補者一覧が顔写真付きで掲載される場合がある。首長選挙の場合はテレビのニュースで報道される。しかしどちらも一過性のニュースとして扱われるため、有権者が本当に必要なときに参考にすることは難しい。

 そこで『ザ選挙』の出番になるのだが、まずは選管からの情報がすべてなので、選管から迅速に的確な情報が出されるかどうかで、サイトへの掲載にも影響が出る。優れた選管は、告示日の締め切り時刻前に「確定前情報」として一覧を送ってくる。経験で、受け付け開始とともに立候補者がほぼ確定することがわかっているからだ。まれに締め切り直前に飛び込みで登録する候補者もいるが、どうせ締め切り後に最終版を送るので問題無い。さらに、見やすい形で自治体の選管サイト上に候補者一覧を掲載し、トップページに選挙告知を掲載するとベストだ。

 そして投票日。開票開始前に有権者数、投票数、投票率などの情報を掲載し、開票が始まると、一定時間おきに開票状況をウェブに掲載する。大きな選挙になれば、テレビでも経過を報道するが、ほとんどは首長選挙の当確が出たときに一瞬テロップが出るくらいだ。新聞社サイトは、地元紙の大きさや選挙の規模によって掲載されたりされなかったりするので、選挙関係者でも確認が難しい。

 「投票率が低い」というのはニュースになるが、

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