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野田政権はレイムダック!?

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

「野田・民主党政権は、すでにレイムダック(注1)になった」

 霞が関(行政・官僚機構)やメディアでは、すでにそう言われ始めているようだ。財務省宿願の消費増税法案が成立し、現政権はすでにご用済みということだ。霞が関はすでに、次の総選挙後にもできるであろう新しい枠組みを前に、いまの政策が変更されたり反故にされたりするリスクがあるため、総選挙で敗北が確実の民主党に、有効で大きな政策案を提示するつもりはないようだ。

 現時点で重要と思われる赤字国債法案、衆議院の選挙制度改革関連法案、9月に発足が予定されている原子力規制委員会の人事などに関して、自民党など野党は、「近いうちに」衆院を解散させる材料として、与党に揺さぶりをかけるなどして、若干の混乱はあろう。だが、野党もそれらの法案に反対し続けることは、国民世論の問題もあって現実的には困難だから、法案の成立は時間の問題であろう。霞が関もその点は織り込み済みだ。

 こうしたなか、脱官僚・政治主導を放棄し、霞が関依存を高めた野田政権は、それ以外の情報源や政権運営のノウハウがないため、さらに霞が関依存にのめり込まざるを得なくなっている。このことは、霞が関自体が野田政権を見限っている状況が生まれている以上、日本は当分、政策的にはほとんど動かなくなったことを意味する。そして、これは当然、野田政権もそう長くはないことも意味している。中国や韓国の領土問題の揺さぶりも、その状況を読んでのものだろう。

 8月15日付の朝日新聞の一面に「橋本新党 旗揚げへ」という文字が躍っているが、現在の政局の大きな目の一つである橋本新党の動きが本格化するなか、与野党の国会議員を中心に出入りが起こり、日本の国政はさらに流動化しよう。

 ここでは、国会議員も次期衆院選の候補者も、選挙にだけ目が行き、政策的な展開はさらに閉塞状況に入ることになる。霞が関が動かないなら、それにカツを入れられるのは本来は国会のはずだが、その政治もこのような状況に陥っているのだ。

 上記のような政治・政策状況を変えるには、解散・総選挙しかない。だが、次の選挙で、全く新しい政治状況が生まれるとは考えにくい。筆者は今後5年間に3回、総選挙があるのではないかと考えている。

 まず、

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