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パブリック人材について考えよう

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 本記事は、先の拙記事「パブリック・マネーについて考えよう(PM記事と略す)」の人材版だ。

 日本で社会的な仕事や政策に関わる仕事をしたいと考えた場合、まず真っ先に思い浮かぶのは、公務員になることだ(注1)。

 それは、公的な活動は官が行うものだという意識が社会的に強いからである。だが、PM記事でも論じたように、民主主義社会においては、民も含めた様々なアクターやプレイヤーが社会的な活動に多様に関わり、社会全体を運営、ガバナンスしていけるようにすべきだ。

 実際、社会起業家やビジネス的手法で地域の問題を解決するコミュニティービジネスの活躍が注目を浴び、企業が社会的に貢献する活動をするなど「企業の社会的責任(CSR)」を果たす経済活動は、企業が持続していくための重要な要件になっている。このように、非営利や民間の組織が社会的、公的に役割を果たすことの重要性は日々強まっている。

 他方、官でも民間企業でも非営利組織でも、社会で重要な役割を果たしているし、果たしてもいけるが、それらの組織やセクターは社会の一部であり、社会全体を理解することはできない。そのような観点で重要なのは、セクターや分野を超えた人材の流動性であり、社会全体として人材をいかに活用していくかという視点だ。

 最近でも、貧困問題で活躍している社会活動家の湯浅誠さんが内閣府参与に就任し、現実の行政や政治の中で貧困問題の解決に活躍している。また、「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之さんが内閣府参与に就任し、自殺対策に奔走したりもしている。このように民間の一部が、行政に加わり、民間での経験を活かして活躍する場面が少しずつだが生まれてきている。

 また、以前は公務員であったが、民間で社会的な活動をしている人も増えている。政策コンサルテイングで議員や政党の政策・立法活動を支える政策工房の高橋洋一さん(元財務省)や

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