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【国産哨戒機P-1の開発は中止すべきだ(1)】 高すぎるコスト

清谷信一 軍事ジャーナリスト

 防衛省は現用の海上自衛隊の哨戒機、P-C(川崎重工がライセンス生産)の後継として、国産の哨戒機P-1を開発中だ。だがP-1は開発が遅延し、調達単価が高騰しているだけではなく、そもそもプログラム自体に問題がある。

 このままP-1の開発・調達をおこなえば、海自の海上哨戒および対潜能力を大きく減退させる可能性が高い。プログラムをキャンセルしてP-1の開発、配備は中止すべきだ。

哨戒機P-1の模型=撮影・筆者

 P-1は機体、エンジン、搭載システムすべてを新たに国産開発している。これは世界的に見ても非常に贅沢だ。

 調達機数が少ない哨戒機で専用の機体を開発するのはコストがかかりすぎるので、たいていは旅客機や輸送機の機体をベースに開発される。対潜哨戒機P-3Cも旅客機エレクトラが原型となっているし、英空軍のニムロットも旅客機コメットが原型だ。

 また米海軍がP-3Cの後継として開発したP-8ポセイドンもベストセラー旅客機737をベースに開発されている。世界の軍事費の4割を消費している米軍でさえ、そのような「贅沢」をおこなっていない。P-8は既にインド軍に採用されているが、我が国は武器輸出規制があり、P-1は輸出はできないので自衛隊が採用する機体のみの製造となり、輸出による量産効果によってコストが下がるわけでもない。

 しかもP-1は、エンジンも専用に開発された国産だ。量産品というよりもカスタムメイドといったほうがよい。このためエンジンの調達単価は、旅客機などに使用され何千と生産されているものに比べて極めて高くなる。当然ながら維持費も高い。

 さらに、P-8ですら

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