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オバマ大統領の再選で考えたソーシャルメディアの可能性

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 11月6日の米国大統領選において、オバマ大統領が再選を果たした。

 失業率は大統領就任時の1ケタ台に戻ってきているが、米国は、経済をはじめ多くの問題は相変わらず混迷のなかにあり、理想と現実の狭間で、政権運営は困難を極め、国民のあれほどの強力な支持を得て大統領になったオバマでさえ、米国社会の多くの問題を克服できる画期的なブレークスルーを見出してはいない。

 また、オバマ大統領は、米国では革命的な出来事といってもいい、国民皆保険を目指す医療制度改革を、全精力を傾注して実現した。だがこのことは、米国社会に根強い「政府はできるだけ小さいほうがいい(いわゆる『小さな政府』志向)」と考える勢力からの抵抗を生み出している。

 その一つの表れが、増税なき「小さな政府」を掲げ、オバマ政権の医療保険制度改革や大型景気対策などを批判し、一大旋風を起こしてきた保守系の市民運動「ティー・パーティー」である。

 このように、オバマへの米国民の支持が低下しているなかで大統領選がおこなわれた。

 テレビ討論会でも全体としてはオバマは勝利を収めたともいわれるが、敵対候補者のロムニーを引き離すことはできなかった。しかし、大統領選直前に米国を襲ったハリケーン「サンディー」での対応では、オバマが優位に立ち、偶然が味方した。

 このように考えると、オバマの大統領選での決定的な勝利の理由はわからない。

 そんなときに、『「オバマ」の作り方――怪物・ソーシャルメディアが世界を変える』(阪急コミュニケーションズ)という本を読んだ。同書は、2008年の大統領選で、オバマ選対本部ニューメディア部門でフルタイムのボランティアとして活躍したラハフ・ハーフーシュによって書かれた。

 内容は、

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