2012年12月10日
前回の総選挙で自民党はダメだとして代えたはずの民主党は、その後、大いに期待外れだった。「第三極」も、国民の期待感はあるが、実際はどうなのだろうと考えているのかもしれない。そのため、別の可能性を求めながらも、政治への信頼はさらに下がっている状況だと思う。
そして筆者は、今回の選挙は、政治におけるさらなる混迷と新しいステージのはじまりであると考えている。それは、この選挙だけでは、日本の政治を決める政党や政治の構図が決まらないからだ。
そして、今回と以降の選挙で問われるのは、政治だけではないと思う。最終的に問われているのは、私たち有権者であり、私たちが構成されている社会なのだ。このことは先の拙記事「今、私たちに必要な『フォロアーシップ』」(WEBRONZA 2012年10月26日)などでも述べた。
このようななか、湯浅誠さんの『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(以後、『ヒーロー本』と称す)』(朝日新聞出版)を読んだ。筆者は、結論や意見でやや異なる部分もあるが、湯浅さんの意見や考えに大いに共感を覚えるとともに、賛同する。
筆者は、『反貧困――『すべり台社会』からの脱出』(岩波新書、2008年4月)が出版されて少し経った頃から、湯浅さんに何度か直接お会いしたことがある。社会運動をされているが、イデオロギーに偏らず、理詰めかつ冷静にお話しされる方で、たとえ立場や意見は異なっても、議論することが可能な方だという印象だったのを今でもよく覚えている。
湯浅さんは、もともとホームレス問題や貧困問題を専門とする社会運動家だ。だが、民主党政権において、内閣府参与として政権に助言し、実際の政策形成にかかわる立場を経験した。そして、社会運動と実際の政策形成の両方を経験することで、「民主主義について考えることを強い」られたのだという。
『ヒーロー本』は、まさにそのような湯浅さんだからこそできた本であると思う。
まず、参考として、湯浅さんが述べていることのポイントをピックアップしておきたい。
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