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なぜインターネット選挙は解禁されなかったのだろうか?――選挙期間に言論の自由が縛られる非民主主義国・日本

小林正弥 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

■激動時におけるインターネット・メディアの重要性

 このような必要性は、公示直前に政治的激動が生じている場合には一層大きい。今回の総選挙の場合、日本維新の会ができたのも比較的最近だし、太陽の党と合併することが決定した(11月17日)のは、公示(12月4日)の約2週間前だ。さらに、日本未来の党に至っては、結成が発表されたのは11月27日だから、公示のわずか約1週間前である。

 だから、公示の時点ではこれらの政党の最新状況については、書籍や月刊誌などでは全く情報や議論は存在しなかった。週刊誌でも、せいぜい1回発行されたくらいだから、掘り下げた分析や議論はほとんど現れていないだろう。

 だから、これらについて報道できたり、若干の議論を紹介できたのは、活字メディアではほとんど新聞だけである。しかし、新聞も公示後は先述のように中立的な報道に徹する必要があるとされているから、意義や問題点についての鋭い記事や議論の紹介は少なくなってしまう。

 つまり、このような激動の時には、活字メディアは決定的に立ち遅れてしまう。だから、活字メディアだけを見ていると、総選挙で最新の展開に関する重要な議論にはほとんど接することができなくなってしまうのである。

 この点で、インターネット・メディアは大きな利点を持っている。そのメディアの種類や特性にもよるが、極めて速やかに最新の状況に即した議論を紹介できるからである。

 実際に筆者は、解散されたので、日本維新の会の石原代表について、「戦後初の『極右党首』登場――『日本維新の会』と石原新党の合併が意味するもの」(2012年11月20日)、日本維新の会について「『日本維新の会』も極右的政党になるのか?――『極右党首』が招く戦争への危険性」(2012年11月22日)、安倍自民党を含めて総選挙について「総選挙後に日本は『戦前』に戻るのか?――二大政党制の崩壊と右翼的体制変革の危険性」(WEBRONZA 2012年11月29日、民主党について「民主党政権はなぜ失敗したのか?――理念を軽んじた『政党』の自壊」(2012年11月30日)、そして日本未来の党について「『日本未来の党』は希望の星たり得るか?――『脱原発への結集』による真の第3極」(2012年12月3日)と矢継ぎ早にWEBRONZAで論考を掲載した。

 幸い、これらは非常に多くの反響を得て、アクセスランキングでもしばしば最上位になり、最初の「戦後初の『極右党首』登場」は、ツイッターやフェイスブックなどでも異例の多大な反響があり、最後の「『日本未来の党』は希望の星たり得るか?」でも、フェイスブックのお勧めが550を上回っており、掲載後10日にもなるのに今でもまだ上位5位に入っている。

 筆者としてこれは望外の喜びであるが、同時に考え込んだ。よく考えてみると、

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筆者

小林正弥

小林正弥(こばやし・まさや) 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

1963年生まれ。東京大学法学部卒業。2006年より千葉大学大学院人文社会科学研究科教授。千葉大学公共研究センター共同代表(公共哲学センター長、地球環境福祉研究センター長)。専門は、政治哲学、公共哲学、比較政治。マイケル・サンデル教授と交流が深く、「ハーバード白熱教室」では解説も務める。著書に『対話型講義 原発と正義』(光文社新書)、『日本版白熱教室 サンデルにならって正義を考えよう(文春新書)、『サンデル教授の対話術』(サンデル氏と共著、NHK出版)、『サンデルの政治哲学 〈正義〉とは何か』(平凡社新書)、『友愛革命は可能か――公共哲学から考える』(平凡社新書)、『人生も仕事も変える「対話力」――日本人に闘うディベートはいらない』(講談社+α新書)、『神社と政治』(角川新書)など多数。共訳書に『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』(ハヤカワ文庫)など。

 

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