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 中国、韓国と日本の関係は史上最悪、米国や欧州からも安倍晋三氏の歴史認識への警戒の目が向けられる。

 安倍氏は、年明けの訪米と日米首脳会談を突破口に「ニュー安倍」を演出したいところだろうが、5年前の政権担当時にできあがった「オールド安倍」の負のイメージを消し去るのは容易ではない。もし長期政権となった場合には、ロシアや東南アジアなどとの関係構築が東アジアの環境改善の一つの手掛かりになるだろう。

 総選挙での自民党勝利と安倍首相誕生に対する海外の目は厳しい。

 韓国の中央日報は「勝利に酔う安倍政権の暴走を警戒する」との社説(12月18日、電子版)を掲げ、安倍氏の公約は「日米同盟だけが重要であり、そのほかの国との関係は眼中にないとの印象を与える」としたほか、旧日本軍の慰安婦問題での村山談話の見直しや「竹島の日」の国家行事化について「爆発性の高い危険な公約だ」と論評した。

 中国の人民日報に至っては、靖国神社参拝、尖閣諸島(中国名・釣魚島)、憲法改正問題について「世界反ファシズム戦争の勝利の成果に対する否定」「戦後国際秩序の取り決めを揺るがす」と大げさな言葉で酷評している。

 中韓ほどではないにしろ、安倍氏が頼りにする米英でも、メディアの評価は甘くはない。

 米ワシントンポスト紙は、前政権時に安倍氏がインドやオーストラリアなど民主主義的価値観を共有する国々との安全保障関係を強化したことを評価しつつも、歴史認識をとりあげ、「安倍氏が日本の歴史的事実を受け入れれば、アジアの安保でも建設的な役割が果たせる」と注文をつけた。英フィナンシャルタイムズ紙は金融政策を評価する一方で、慰安婦問題の認識については「恥ずべきであり、近隣諸国から正統な怒りを招いた」と手厳しい。

 こうした負のイメージを伴う逆風をどうはねのけるのか。当面、三つの課題がある。

 第一は、年明けの1月末から2月に予定されている日米首脳会談だ。

 日米安保体制が両国関係の基軸であることを確認し、中国の軍事的拡張主義をけん制することは可能だろう。しかし野田佳彦首相まで過去6年間に6人の首相を交代させるという日本の政治への米政権内の失望感をどう払しょくし、オバマ大統領と信頼関係を結ぶのか。歴史認識や慰安婦問題を口にすればそれは遠のく。環太平洋経済連携協定(TPP)参加の意思をどこまで踏み込んで示せるかも試されよう。

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筆者

脇阪紀行

脇阪紀行(わきさか・のりゆき) 大阪大学未来共生プログラム特任教授(メディア論、EU、未来共生学)

1954年生まれ。79年に朝日新聞社に入社、松山支局などを経て大阪本社経済部に。90年からバンコクのアジア総局に駐在。米国ワシントンでの研修を経て97年からアジア担当論説委員。2001年からブリュッセル支局長。06年から論説委員(東南アジア、欧州など担当)。2013年8月末に退社、9月から、大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム特任教授。著書に『大欧州の時代――ブリュッセルからの報告」(岩波新書)、『欧州のエネルギーシフト』(岩波新書)。

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