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衆議院選挙のもたらしたもの――圧倒的な右派優位国会の危うさ

小林正弥 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

■選挙結果と脱原発・憲法改正

 衆議院選挙の結果は、自民党が118議席から294議席へと約2.5倍になり、公明党が10議席増の31議席となった。自民党だけで単独過半数であり、自公で3分の2(320議席)を上回った。他方で、民主党は230議席から57議席と、4分の1以下となる壊滅的な大惨敗を喫した。また、いわゆる第3極では「日本維新の会」が11議席から54議席へと約5倍、みんなの党が8議席から18議席へと2倍以上になった。

 自公の与党と「日本維新の会」をあわせると、379議席と圧倒的な多数になる。これを右派政党の議席と考えると、480議席中の約79%ということになり、ほぼ8割が右派政党という衆議院が成立したのである。これは、圧倒的な右派優位の国会に他ならない。

 他方、日本未来の党は、61議席から9議席へと7分の1くらいに大幅に議席が減少し、社民党は5議席から2議席、共産党は9議席から8議席へといずれも議席を減少させた。もっとも積極的に脱原発を掲げたこの3つの党が議席を減少させたことになる。

 もっとも、日本維新の会やみんなの党にも脱原発のイメージはあるので、脱原発を掲げた政党が全て敗北したとまでは言えないかもしれない。けれども、憲法改定への賛否という観点からみると、この2つの政党は、改憲の内容や時期には意見の相違はあっても、憲法改定そのものには賛成している。だから、この中では、何らかの意味で改憲へと賛成する政党が議席を増加させ、それに消極的な政党がほとんど議席を減少させたことになる。

 これは、脱原発や平和憲法の維持を希求する人びとにとっては、暗澹たる結果だろう。筆者は、「総選挙後に日本は『戦前』に戻るのか?――二大政党制の崩壊と右翼的体制変革の危険性」(WEBRONZA 2012年11月29日)で、解散総選挙の報を聞いて慄然としたと述べたが、まさしくこの予感が的中してしまったと言わざるを得ない。衆議院においては、既に世界は変わってしまったのである。

■3つの争点と政権幻滅による審判――自民党大勝をもたらしたもの

 今回の選挙の争点は、次のように総括できるだろう。第一に、前回総選挙からの民主党政権に対する審判、第二に、 ・・・ログインして読む
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筆者

小林正弥

小林正弥(こばやし・まさや) 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

1963年生まれ。東京大学法学部卒業。2006年より千葉大学大学院人文社会科学研究科教授。千葉大学公共研究センター共同代表(公共哲学センター長、地球環境福祉研究センター長)。専門は、政治哲学、公共哲学、比較政治。マイケル・サンデル教授と交流が深く、「ハーバード白熱教室」では解説も務める。著書に『対話型講義 原発と正義』(光文社新書)、『日本版白熱教室 サンデルにならって正義を考えよう(文春新書)、『サンデル教授の対話術』(サンデル氏と共著、NHK出版)、『サンデルの政治哲学 〈正義〉とは何か』(平凡社新書)、『友愛革命は可能か――公共哲学から考える』(平凡社新書)、『人生も仕事も変える「対話力」――日本人に闘うディベートはいらない』(講談社+α新書)、『神社と政治』(角川新書)など多数。共訳書に『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』(ハヤカワ文庫)など。

 

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