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自民党は国民を納得させられるのか――遅ればせながらの衆院選雑感

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 2012年12月の衆議院選で、自民党は294議席を占めた。連立与党を形成する公明党の31議席を加えて326議席となり、衆議院の議席の3分の2を超える議席を獲得したのである。特に小選挙区では、300議席のうち、79%に相当する237議席を占めた。これらの数字だけからすると、自民党圧勝にみえる。

 ところが、比例代表における得票数を見ると、まったく異なった様相が見えてくる。表をみていただきたい。

第46回衆議院総選挙の結果について(比例代表)=時事ドットコムなどの資料を基に筆者が作成

 この表からすると、今回の選挙で与党になった自民党と公明党は、前回の選挙と比べて得票率は横ばいだ。民主党が激減し、その減った分を、維新と未来が得票した形になっている。その他の政党は、みんなの党以外は、得票率を減少させたことになる。

 また、小選挙区では自民党が圧勝したと述べたが、小選挙区では基本的に自民党のような大政党は選挙マシーンができているために有利だ。また、2009年選挙で敗れた候補者が、常時選挙区に張り付いて選挙活動や政治活動をしており、小選挙区では政党よりも個人本位で選択することになるうえに、民主党に逆風が吹くなかでは、自民党の候補者に有利になったのは当たり前のことだ。

 したがって、政党に対する民意は比例区にあると考えるのが妥当だ。しかも、今回の選挙の確定投票率は、2009年の衆院選に比べ9.96%下がり、小選挙区で59.32%、比例代表で59.31%であった(注1)。ということは、比例において、安倍自民党は、国民全体の実は16.37%(=59.31%×27.6%)の支持率しか得てないことになる。つまり、有権者全体の6分の1程度の支持しか受けていないのだ。

 これは、有権者の多くが支持していないに等しい。なお、自民党は公明党と選挙協力をして小選挙区と比例で棲み分けをした面があるが、本来はその点も勘案しないといけない。だが、自公の支持率合計はほとんど増えていないこともあり、問題をクリアにすために、本記事ではとりあえず無視する。

 さて、第二次安倍政権の発足を受けての内閣支持率は59%(朝日新聞)であり、自民党支持率は36%であった。

 この差はなんだろうか。これは、選挙が行われ、新しい政権ができたことの期待感やあきらめ感、それとご祝儀相場であって、決して国民の多くが心底から自民党に期待しているわけではないということだろう。

 自民党執行部も、そのことは理解しているようで、開票されて自民党の圧勝が報道で伝えられた時も、浮かれることなく、民主党の敵失による勝利に過ぎないという意が表明されたことは、読者の記憶にも残っているところだろう。

 安倍晋三総理は、選挙後と組閣後、矢継ぎ早にデフレ脱却や原発稼働などの政策的なメッセージを出し始めており、民主党とは異なる、動かす政治をアピールしている。また、安倍政権は、今年の夏ごろに行われる参議院選挙を控えて、メディアで言われているように、基本的に安全運転で、景気浮揚に向けた政権運営をすることが予想されるし、その方向に進んでいるようだ。

 だが、筆者には、動かなかった政治を動かそうとするためにメッセージを出そうとするのはいいと思うが、納得がいかないというか、引っかかる面がある。それは、

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