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安倍総理は新しい政治システムの構築を!

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 政権与党に復帰した自民党が今後どのような政策形成の仕組みをとるかはいまだ不明の面もあるが、法案や政策案を党内で事前審査をするという従来の手法に戻りそうだ。つまり、政府提出法案(いわゆる閣法)であっても、閣議で決定する前に、自民党の政務調査会の部会での説明や議論、総務会での承認を得るというプロセスをとるということだ。

 そのプロセスの一部は報道されることもあるが、族議員の動きや業界などの陳情があり、一般にはどのような議論や活動がなされているか、外部からはわかりにくい。他方、その事前審査があるがゆえに、党内でコンセンサスが形成され、党内の不満がそのプロセスで吸収されるのだ(注1)。

 事前審査を経て決定された法案は、その後、閣議決定されて国会にかけられる。したがって与党・内閣・行政のコンセンサスが出来ているために、国会ではほとんど一字一句変更せず、与野党で形式的に議論され、成立するのが常態だった。その結果、国会は、審議や議論よりも、自党にとって有利になるように、四六時中、法案審議の日程調整の闘争をすることになる。

 民主党は、2009年の政権交代の際、そのようなプロセスを「政府・与党の二元的意思決定」であると批判し、自党の政策調査会を廃止し、その一元化を図った。しかし、この結果、多くの民主党議員は、政策的な発言や活動の場を失い、党内に不満が生まれるという弊害が起きた。このことは、民主党が政権運営で失敗した一因であったと考えられる。

 なぜこのようなことが起きるかといえば、各議員は、自分の選挙区(特に小選挙区)で、党よりも、個人後援会によって戦っているからである。議員は、自分が再選されるためには、選挙区向けに自分がいかに政策的に活動しているかを示していく必要性があるのだ。これは、民主党だけでなく自民党でも同様だ。

 筆者は、国会は立法機関であり、そこでは当然、法案や政策案の実質的な審議や議論がなされるべきであると考える。そして、国民がその議論の状況を知ることができるように、できるだけオープンになっている必要がある(注2)。

 また、国民の政治に対する意識が徐々に変わりだしている現在、国民が納得できる政治プロセスの形成が必要になる。その意味でも、国会は、可能な限りオープンな形で議論される場であるべきだ。それによって、日本の政治をより民主主義的にしていくことができる。

 こう考えてくると、本来的には、政府・与党の二元的意思決定の手法は変えていくべきだろう。他方、民主党の経験も踏まえて、新しいアプローチが必要だ。

 そこで筆者としては、次のようないくつかの提案をしたい。

○党の仕組みを、現在のような議員・候補者の個人後援会の集合体である形態から、党がより強力に候補者を支援する組織政党に改めていく。これによって個人のパフォーマンスの必要性を低下させる。

○各議員が政策面で活躍できる場や機会を、事前審査とは異なる形で、党内や国会につくる。例えば、与党でも議員立法などをしやすくする。

○特定の重要法案や政策案以外は、事前審査をなくす。特に社会的に議論の分かれるものは、出来るだけ各議員が国会で自由に審議・議論できるようにする。

○政府省庁と与党議員の間の調整役・連絡役を務める次のような議員職を設ける。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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