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ラムズフェルド元米国防長官も応援するレスリングの五輪復活

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 2020年のオリンピックの競技からレスリングが外れそうだとのニュースにショックを受けているのは、日本人だけではない。伝統的に、この競技に強いイランは強く反発している。過去のオリンピックでイランが獲得した金メダルの約半分はレスリングでの勝利の成果である。

 不利な事が起これば、何があっても「大悪魔アメリカ」の陰謀だと言うのが大好きなイラン人だが、さすがに今回は、そうした声は上がらないだろうと思った。というのはレスリングがオリンピックの競技から除外されそうだというのでアメリカもショックを受けているからである。

 ところが、やはりアメリカ陰謀論がイランで出ている。イランのナショナル・チームのコーチが、イランのメダル獲得を邪魔するために動いたとアメリカを非難している。現実にはこだわらない大らかな偏見である。

 だが実際には、対立することの多いイランとアメリカの両国だが、レスリングの問題では同じ側に立っている。アメリカもレスリングの復活を求めている。

 この面で注目されるのは2月15日にドナルド・ラムズフェルドが『ワシントン・ポスト』紙に寄稿したレスリングの復帰を求める一文である。

ドナルド・ラムズフェルド元米国防長官

 そう、あのラムズフェルドである。

 息子ブッシュ大統領の国防長官として2003年のイラク攻撃の旗振りをした人物である。この人物の応援だけは欲しくなかったような気もする。だが執筆者を気にしなければ、なかなか説得力のある文章である。

 元国防長官の議論は、まず

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