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民主党の混迷に見る「政党が変わる時代」

薬師寺克行 薬師寺克行(東洋大学社会学部教授)

 総選挙後の民主党の意気消沈ぶりは尋常ではない。野党第一党であるにもかかわらず、他の野党を引っ張っていく元気もないようだ。みんなの党や維新の会などの幹部に比べ海江田万里代表ら民主党幹部の発言がメディアに取り上げられることが少ない。

 また、政権を担当していたころの党幹部や主要閣僚経験者らは見事に姿を消している。総選挙の大敗からわずか2カ月余りしかたっておらず、何を言っても批判の対象となってしまうのだから静かにするしかないのだろう。

 そして、新執行部は党をどう立て直して7月の参院選に臨むか、まだ何の絵も描けない暗中模索状態だ。2月24日の党大会に合わせて公表された党の基本文書である「民主党綱領」と、3年間の政権運営や昨年の総選挙を検証した「党改革創生本部第一次報告」を読むと、そんな党内の状況がくっきりと浮かび上がる。

 これらの文書には、民主党が自民党とは違う政党を目指しているらしいことは読み取れる。また、民主党が政権運営や総選挙で何を失敗したかについても書かれている。しかし、総選挙ショックの大きさからか、まだまだはっきりとしたメッセージは伝わってこない。

 例えば政権運営や総選挙についての検証だが、「マニフェストについて党内議論が不十分」「官僚との意思疎通を欠いた」「政党のガバナンスが未熟だった」「トップによる失敗の連鎖が続いた」などの事実は数多く列挙されている。ところがこれらの大半は、すでにメディアも報じていることばかりで特に目新しさはない。

 提言の部分では、細かな党改革案などが列挙されているが、よく読むと検証部分が指摘した問題提起の答えにはなっておらず、ごく当たり前のことが列挙されているだけだ。

 民主党はわずか3年で国民から見放されて政権を失うという貴重な経験をした。であれば「失敗の列挙」ではなく、そういう失敗を繰り返した理由、背景などの分析をしたうえで対応を検討することが不可欠である。

 そのためには当事者からのヒアリングなど時間をかけた作業も必要だろう。野党に転落後、大胆な党改革を行い政権に復活した英国労働党など、他国の事例を調査することもあっていいだろう。

 しかし、わずか2カ月ほどで作成された文書には深く掘り下げた議論のあとは見られない。結局は総選挙で落選した議員らの批判や不満に対応するため、前執行部らをさらしものにした単なる「ガス抜き」のための文書という印象を与えている。

 民主党が駄目な政党だから、こんな文書しか作ることができないのだろうか。おそらくそうではないだろう。 ・・・ログインして読む
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筆者

薬師寺克行

薬師寺克行(やくしじ・かつゆき) 薬師寺克行(東洋大学社会学部教授)

東洋大学社会学部教授。1955年生まれ。朝日新聞論説委員、月刊誌『論座』編集長、政治エディターなどを務め、現職。著書に『証言 民主党政権』(講談社)、『外務省』(岩波新書)。編著に、『村山富市回顧録』(岩波書店)、「90年代の証言」シリーズの『岡本行夫』『菅直人』『宮沢喜一』『小沢一郎』(以上、朝日新聞出版)など。

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