メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

【映画『アルゴ』をめぐって】 イランの反応

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 アカデミー作品賞の映画『アルゴ』では、イラン革命は必ずしも好意的には描かれていない。頭の切れるCIA(アメリカ中央情報局)のスパイが、敵地イランに乗り込んでイラン当局をまんまと出し抜いてアメリカ人を救い出すというストーリーである。

 それでは、この映画はイランでは、どのようにとらえられているのだろうか。イランのメディアでもアカデミー賞の結果は、大きく報道された。

 その報道の味付けが興味深かった。まず今回の受賞作発表の演出である。ミシェル・オバマ大統領夫人が、受賞作品を発表した。アメリカでのオバマ夫人の人気は高い。オバマ大統領よりも高い支持率を国民から得ている。その人気のオバマ大統領夫人をアカデミー賞の発表者に起用したのは、ハリウッドの放った今年の最大のヒットだろう。

 この受賞作発表の写真がイランでも報道された。ところが、写真に修正が加えてあった。実際にはミシェル夫人は、ノースリーブで、胸元が少し開いている衣装を着ていた。ところが、イランでは修正された写真が使われた。イランで報道された写真では、ミシェル夫人は、半袖で、しかも首元までが被われた服装であった。

 映画そのものの報道に関しては、この反イラン的な映画が作品賞に選ばれたのはアメリカ政府の陰謀であるとするものである。ミシェル大統領夫人が

・・・ログインして読む
(残り:約563文字/本文:約1115文字)