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ブックガイド――3・11と福島原発事故を考える契機に

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 あの忌まわしい東日本大震災とそれに伴う福島原発事故が起きてから2年が経つ。多くの命が失われるとともに、多数の方々が被災し、現在も自宅を失い、厳しい生活に苦しんでいる。

 それにもかかわらず、復興は遅々として進んでいない。また原発事故の問題も、解決の方向はいまだ見えていない。むしろ、日本社会で熟考されないままに、何となく原発再稼働の方向に進みつつある感じがする。

 このような状況のなか、改めて、原発事故が本来日本社会のあり方に関わる大きな問題であるという問題提起をしたいと思う。どのような結論になるかは別にしても、われわれ日本人一人ひとりが、そして日本社会全体が、このことに関してもっと議論し、考えなければならないと思う。

 そのような思いもあり、この期に、原発事故に関する本を参考までに紹介したい。次の5点を簡単に説明していこう。  

『死の淵を見た男――吉田昌郎と福島第一原発の五○○日』(門田隆将著、PHP研究所、2012年11月)

 福島原発の現場で、家族を、地域を、日本を守るために闘った人々の声や思いを描いた内容的に重たい一冊。彼らがいなければ、今の日本や今の東京はなくなっていただろう。だが、原発事故を彼らの献身的で犠牲的な行動の意義や尊さだけで片付けてはいけないことは自明だ。

『プロメテウスの罠 3――福島原発事故、新たなる真実』(朝日新聞特別報道部著、学研パブリッシング、2013年2月)

 朝日新聞の朝刊に現在も連載されており、社会的にも大きく注目されている連載記事「プロメテウスの罠」の書籍化の最新版である。取材先の実名が入った丹念な取材にもとづいて書かれており、福島原発事故による人々の苦悩や息遣いを描くと共に、今後の日本の原発のあり方を問うている。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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