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【映画『アルゴ』をめぐって】 特殊部隊の失敗を活かしたビンラーディン殺害作戦

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 映画『アルゴ』が描いた時代のアメリカ大統領はジミー・カーターだった。カーターは、不人気な大統領で一期務めただけで再選はできなかった。ロナルド・リーガンに1980年の大統領選挙で敗れた。敗北の大きな原因は、『アルゴ』に描かれているイランの首都テヘランのアメリカ大使館の人質事件であった。その対応が生ぬるいとして、国民の怒りを買った。

 結局、1981年の1月に人質が解放された。イラン側は人質を解放し、アメリカは凍結していた国内のイラン資産を返還した。当時はイラン・イラク戦争の最中であり、イランは凍結資金が喉から手が出るほど欲しかった。

 映画の末尾で「外交によって一人の犠牲者も出さずに全員無事に解放した」との旨のカーター元大統領自身の声が聞こえる。誇らしげである。

 しかし、この発言には、一言の注釈を付けたい。カーターは、救出部隊をイランに送り込んで人質を解放しようとして失敗し、 ・・・ログインして読む
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筆者

高橋和夫

高橋和夫(たかはし・かずお) 放送大学教養学部教授(国際政治)

北九州市出身、放送大学教養学部教授(中東研究、国際政治)。1974年、大阪外国語大学ペルシャ語科卒。1976年、米コロンビア大学大学院国際関係論修士課程修了。クウェート大学客員研究員などを経て現職。著書に『アラブとイスラエル』(講談社)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会)、『アメリカとパレスチナ問題』(角川書店)など多数。ツイッター https://twitter.com/kazuotakahashi ブログhttp://ameblo.jp/t-kazuo 

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