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「一票の格差」違憲判決、裁判所は「最後の砦」になってほしい

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 東京高等裁判所は、3月6日、「一票の格差」が最大で2.43倍であった2012年12月の衆議院選挙は憲法違反だとして無効を求めた弁護士グループの訴訟に対して、同選挙を違憲とする判決を言い渡した。しかしながら、選挙無効の請求は棄却されたために、同グループは最高裁に上告した。

 これは、弁護士グループが全国にあるすべての14の高裁・支部で、同様の提訴をしているうちの初めての判決である。3月27日までに判決は出そろうことになるそうだが、年内にも最高裁判所がそれに対する統一判断の判決を出し、確定する見通しだという。

 なお、最高裁は、2011年8月に実施された2009年の衆議院選挙の最大格差は2.30倍だったが、「違憲状態」と判断した。だが最高裁は、この28年間、この問題で違憲判決は出していない(注1)。

 国会も、この問題を放置してきたわけではない。昨年の衆議院解散前も、是正作業は間に合わなかったが、定数是正を決めていたし、今国会でも議論されはじめている。

 今後、この問題は、現実の選挙区定数是正や選挙区の線引きの問題として、政党間の思惑も含めて、国会でも激しい議論が続いていくだろう。

 だが、本記事で論じたいのは、そのような国会の問題ではない。司法の問題だ。

 日本は、憲法上も、三権分立制がとられている。それは、主権者である国民の権力を為政者に任せるが、その為政者の権力が大きくならないように、立法・行政・司法の三権に分立させ、相互に監視させ、抑制させ、全体のバランスをとらせることだ。いわゆるチェック・アンド・バランス(check and balance)である。この制度は、日本国憲法に規定されている。

 民主主義の国においては、最終的なチェック・アンド・バランスをとるのは、主権者である国民・有権者しかないが、実はその前段階で非常に重要なのは、憲法や法律に基づいて立法や行政をチェックする司法なのだ。特に、最終的な判断を下す最高裁判所が重要だ。このため司法は、市民を守る最後の砦、民主主義の最後の砦といわれることもある。

 だが、他のいくつかの記事でも書いきたように、日本は、行政中心に国や社会が運営されてきたため、立法や司法の存在感が弱かった。そうはいっても、国会は、少なくも形のうえでは政治や政策形成の中心(いわゆる国権の最高機関=注2)であり、その動きはメディアでも注目を集める。それに比して、司法は、社会的注目の面から考えても、存在感が薄かったのが現実だ。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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