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「霞が関」は本当に日本最大・最高のシンクタンク?

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 安倍政権が2012年末に成立し、実態はともかくとして、政策を積極的に進めようとしているようだ。そして、民主党政権時代には抑えられていた霞が関(行政)には、以前の自民党が政権与党だった時のような活気が戻っているといわれる。霞が関が、政策形成の中心としての役割を回復させているのだろうか。

 日本では、「霞が関は、(日本を動かす頭脳である)日本最高・最大のシンクタンク」といわれることがよくある。日本経済が好調だった時には、そのかじ取り役といわれ、「世界最大・最高の(政府)シンクタンクだ」とさえいわれたこともある。日本経済の長引く低迷で、最近はさすがに後者のようには言われなくなったが。

 だが、本当に霞が関は、「日本最大・最高のシンクタンク」なのだろうか?

 筆者は、この30年弱ぐらい世界中のシンクタンクを訪問し、調査研究したり、国内外の政策研究機関に関わってきた。その経験からいえば、その回答は「否」である。

 なぜなら、シンクタンクは、政策を立案したり、執行するような機関ではないからだ。霞が関は、立法府(国会)を通じて政策を立案し、執行する機関であり、グローバル・スタンダードからするとシンクタンクとはなりえないのだ。

 シンクタンクとは、非立法機関、政策の非執行者であり、むしろ立法や政策執行をする組織や人物を監視し、チェックするところだ。基本的に立法・政策執行から距離を置き、第三者的役割を果たすのだ。つまり今の体制、政権とは基本的に別の観点から、政策を考えていく組織なのだ(注1)。

 その意味からすると、シンクタンクは、現状に満足し、現状を変える必要がないなら存在する必要がないものだ。民主主義に完全・完璧(状態)がないように、シンクタンクは、現状の問題や課題を絶えず探り出し、改善していこうという仕組みだ。その意味でも、民主主義におけるツールであり、装置であり、政策形成過程に多元性をもたらし、市民を含む社会がその過程に関われるようにするものである。

 シンクタンクが、こうした役割を果たすためには、立法や行政からの独立性、対等性や対抗性を担保できるということが重要なのである。だが、それは政府に対して敵対的であるとか反政府的ということではない。議論や論点で勝負していく、「知」における競争性や多元性の問題なのである。

 このようなことから、世界中の100を超えるシンクタンクを訪問し、調査した経験から、筆者は

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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