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政権交代における悲哀は、国会議員だけじゃない!

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 先日、国会近辺を歩いていて突然気づいたことがある。

 それは、民主党本部のあるビルの近辺に警備する警官の数が極端に減り、人通りも減っていたことだ。以前は、その近くを通ると職質などがあったものだが、それもなくなった。政治団体の街宣車もなく、以前のような絶叫や罵声も聞こえず、ひっそりとしていて、侘しささえ漂う。民主党が政権を取っていた時の様子とは大きな様変わりである。政権交代に伴う、悲哀を感じる。同様のことは、2009年総選挙による政権交代後の自民党本部でも起きた。

 これに対して、最近の自民党本部近辺には、警備の警官がかなり増え、多くの街宣車が戻り、政権交代前の状況に戻った。

 これも政権交代の風物詩といっていいのだろう、と考えていたが、WEBRONZAで、「消費されていく国会議員たち――落選者はいま」(薬師寺克行)という記事が掲載された。この記事は政権交代における国会議員の悲哀と苦悩を描いたものだが、今述べた政権交代をめぐる党本部周辺の近況とダブって感じられ、興味深く読ませていただいた。

 だが、そのような悲哀や苦悩を感じているのは国会議員だけではない。

 落選した議員は大変苦労しており同情を禁じ得ないが、自ら議員となり、そして落選して捲土重来を目指しているので、ある意味いたし方ない面もある。

 他方、落選した元議員秘書などスタッフは、即解雇ということも多い。

 2012年末の総選挙後、何人かの元議員秘書から、「自分の議員が落選して、いま残務処理をしていますが、数日後に無職になります。議員秘書を続けたいので、仕事を探しています。秘書を探している議員がいれば紹介してください」という連絡が入った。

 衆議院はいつ解散があるかわからない。突然の解散で、自分のボスである議員が落選すれば、一部を除き、秘書も当然職を失うことが多いのが現実だ。参議院のように任期が決まっていれば、クビにされない限り秘書をいつまでできるかがわかり、キャリア設計がしやすいが、衆議院の場合はそうはいかない。その意味で衆議院はよりリスクが大きい。

 もっとも、自分のボスの議員が落選しても、別の議員(他党の場合もある)の秘書になる(なれる)者もいる。2009年の政権交代で多くの自民党議員が落選し、多くの民主党議員が当選した。当初、民主党は、所属の議員に、「元自民党議員の秘書は採用すべからず」というお触れをだした。だが、リスクの高い政界で、新た人材を見つけるのは至難の業であった。そのため結局は、多くの民主党新人議員は、元自民党の議員秘書をたくさん採用したと聞いている。

 秘書が優秀であれば、新しい職を見つけられる。今回の選挙の場合も、優秀な人材ほど、すぐに別の議員の秘書の職を見つけている。

 だが現実には、そのような転職がすぐにかなわないことも多い。しかも、秘書職の給与は、

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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