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核燃料サイクルは新安全規制で事実上の凍結へ

団藤保晴(ネットジャーナリスト)

 民主党から自公両党が政権を奪い返してから、福島原発事故以降に生まれた原子力政策見直しをひっくり返しつつある。「2030年代の原発稼働ゼロ」否定と並んで核燃料サイクル全面復活が大きな柱になっているが、原子力規制委が打ち出した新安全規制が核燃料サイクル事業を事実上の凍結へ追い込もうとしている。少し事情に通じていれば見える方向性をマスメディアが見過ごしているので、再処理工場と高速増殖炉「もんじゅ」に対して重要な決定が既になされているとリポートしたい。

拡大再処理の主要なプロセス

 4月15日付、原子力規制委の資料「使用済燃料再処理施設の規制基準について」に掲げている再処理の主要なプロセスが上の図である。使用済燃料は放射能レベルが高く、厳重なキャスク容器に入れて搬入される。ジルコニウム合金の燃料被覆管ごと切断、溶解してウラン、プルトニウム、核分裂生成物を分離するプロセスに送る。分離の後、簡単に原爆の材料になるプルトニウムだけにする訳にいかないので、再びウランと混ぜる工程がある。高レベル放射性廃棄物はガラス固化体にして保存する。

 あちこちに「臨界」の恐れが記載されている。普通の化学プラントのように大量に反応させてさっさと処理させられない危険な性質がある。一定量以上の核物質が集まると核分裂反応が持続する状態が起きてしまう。再処理工場にとって最も危険な事態だ。さらに、死の物質と呼ばれるほど極めて高い放射性物質を扱っているのだから外部に漏らすことは絶対厳禁だ。この危険の集積に対して新たな注文がついた。

 4月17日の記者会見で原子力規制委の田中俊一委員長が新安全規制で「再処理工場に関し、想定される過酷事故として火災や航空機落下、地震を挙げた」と報道されている。地震の問題は福島原発事故以降、大きくクローズアップされ、隠れた活断層があちこちにある疑いが浮上した。再処理工場がある青森県六ケ所村も例外でないが、その追及は今後に委ねる。当面の焦点は航空機落下という全く新しい項目の浮上だ。

 上記資料から該当箇所を探すと「3-2.新規制基準(設計基準)案の構成と対応方針 (2)外部人為事象に対する設計上の考慮」に行き着く。この項目は旧基準ではほとんど考慮されていなかった。《(旧の)再処理指針には詳細な規定がないが、再処理施設でも考慮が必要な要件であるため、発電炉の新基準案と同様の要求をする。ただし、再処理施設では「安全上重要な施設」を要求の対象とする(発電炉では「安全機能を有する構築物、系統及び機器」が対象)》と、新しい考え方が説明されている。

 発電用原子炉では航空機落下への代表的な対策として、原子炉から百メートル離した場所に第2の緊急時制御室を設け、炉心溶融を起こして格納容器の底に落ちた核燃料へ注水冷却が出来るように配管設備を追加すると定められた。これに準じた重大事故対策が求められるとすれば、大幅な設備変更と落下事故対策が避けられない。既に最初の完工期日から15年も遅れている六ケ所村の再処理工場なので、日本原燃は年内に完工したいと希望したが、「新規制基準が出来るのは12月になるので、それまでは稼働を認めない」と原子力規制委にはねつけられた。さらなる設備工事が避けがたい以上、工場完成は再び遠のく。

 核燃料サイクルは、再処理工場で分離されたプルトニウムを燃やしてくれる高速増殖炉との組み合わせで動く。その高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)に対して、原子力規制委は発電用軽水炉に準じた多層安全設備を要求する方針を示した。

 4月3日付の「高速増殖原型炉もんじゅに係る規則等の整備について」では重大事故への対応について、

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