2013年05月08日
この会合は、民主党政権に関わった民間人と議員との意見交換会だ。傍聴者も民主党に近い方々が多く、クローズドな雰囲気があって、メディア関係者も少なく地味だったが、非常に意味のある会合だった。
民間のゲスト参加者は、伊知地亮さん(NPO法人オンザロード事務局長/元内閣官房震災ボランティア連携室室員)、駒崎弘樹さん(NPO法人フローレンス代表理事/元内閣府「新しい公共」専門調査会推進委員)、清水康之さん(NPO法人ライフリンク代表/元内閣府参与)、白井智子さん(NPO法人スマイルファクトリー代表/元内閣府「新しい公共」推進会議委員)、平田仁子さん(NPO法人気候ネットワーク理事/元COP15政府代表団)、湯浅誠さん(NPO法人もやい事務局長/元内閣府参与)ら、民主党政権において、さまざまな形で政権運営や行政活動に関わった方々であった。
彼らは民主党政権の脱官僚・政治主導という理念(注2)なしでは、政権に関わることはなかった、あるいはありえなかっただろう方々だ。
それに対して民主党の側は、「新しい公共」をはじめとして、NPO/NGOの人材らとタッグを組んで、政権運営や行政活動を実施しようとした細野豪志(党幹事長)、辻元清美(党NPO局長)、大島敦、鈴木寛、大河原雅子、福山哲郎、松井孝治、柳沢光美らの衆参国会議員であった。
ゲストからは「政権とのかかわりの経緯と内容」や政権に関わって得た成果や「腹が立ったこと」「やり残したこと」などの話があり、それを受けて、議員たちと民主党政権3年半の成果や課題、政治とNPO/NGOとの連携における課題に関して議論をした。
それらの議論は、双方の側とも、このような試みを前向きにとらえていたといえる。本記事ではその詳しい内容に関して述べないが(詳しく知りたい方は、動画をご覧ください!)、筆者の印象に残った言葉だけ(注3)を参考に取り上げておきたい。
○民間人からの意見
「(いやなことも含めて民主党政権に関わって)いろいろなことがあったが、学ぶことが多く、勉強になった」(複数の民間人から同様の回答があった)
「本来はアドバイスをする立場だったが、政治的な調整などもしなければならなかった」
「形式的には政府代表団に参加したが、実態として参加できたとはいえない」
「外で批判だけしていても変わらないことがわかった」
「何かをしようとしたとき、官僚からこれこれの理由でできないといわれた。実際にやってみるといわれた通りのことが起きた。官僚は、(できないように)邪魔をしているのではなく、こういうことをすればこういうことが起きると予想できるのだということがわかった」
○議員からの意見
「これまでの政権では、このような方々を政権に参画させることはできなかった」
「このようなNPO/NGOや民間人が政権に関わることは、どこが政権をとろうがやっていかないといけない」
「ここにいる方々に冷水を浴びせるようだが、私としては、『新しい公共』は、NGOとかNPOだけのためではない。むしろ、納税者や国民に当事者意識をもってもらうようにするために考えたものだ」
「官僚は、総理よりも法律を優先する。官僚は法律の番人。NPOは最善を目指すが、官僚は形式的平等を目指す。何かをやると文句をいわれるが、何もしなくても文句はいわれない。その結果、現在の日本では、不作為のリスクが増大してきている」
「NPO/NGOが渾然一体となり、新しいものが出てくる。『新しい公共』は『意思決定の再編』、『意識の再編』、『現場の再編』であったのだ」
要は、NPO/NGOが政権運営や行政に関わったことは、新しい試みであり、日本の政策形成や政権運営の新しい可能性を探る動きだったのだ。そして、政権や行政にとってばかりではなく、NPO/NGOなど民間サイドにとっても新しく、貴重な経験であったといえる。
このようにNPO/NGOをはじめとする民間人が、政策形成や政権運営に関わることには、次のような意味が考えられる。
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