2013年05月18日
配信したのは某全国紙。ネット版の記事です。配信時刻は午後2時46分でした。
見出しはこうです。
「総連本部の所有権移転へ 落札の最福寺『交渉先からの融資合意』代金納付へ」
「富士見城、ついに落城か」と注目されてきた朝鮮総連中央本部ビル(東京都千代田区富士見)。その土地・建物を3月の競売で落札した宗教法人「最福寺」(鹿児島市)が、納付金額ねん出のため、ある大手ゼネコン関連会社と進めていた融資交渉が、この日、合意に達したというのです。
最福寺は同日中に納付手続きを終える予定で、それによって、朝鮮総連中央本部ビルの所有権は最福寺に移転する見通しである、と記事は書いています。
これを読んで、
「まさか」
と目を疑った関係者は少なくなかったに違いありません。
それというのも、3月下旬に45億1900万円の最高価で落札して以来、最福寺の池口恵観(76)法主(ほっす)や寺の関係者の発言からは、彼らが当初想定していた銀行融資などでの資金調達計画が次から次へと失敗に終わり、残る約40億円(5億3000万円は入札時に納付ずみ)の裁判所への納付手続きが極めて困難なことがうかがえたからでした。
新聞各紙も「購入断念」の朝日新聞のスクープ(5月8日付朝刊)をはじめ、「資金調達めど立たず」と直前まで現状の厳しさを伝えていたのです。
それが、納付期限である10日の前日になって、何と、逆転満塁ホームランを放ったというのですから、読んで、驚かない方がどうかしているというもの。
実際、筆者のところにも長年のウォッチャーたちから電話が入り、
「大手ゼネコンというのは、神奈川県に本社のあるТ建設ではないか」
「10年ほど前に計画され、土壇場で取りやめになったゼネコン訪朝団のメンバーでは。あえて融資することで、北朝鮮に恩を売るつもりだろう」
などなど、様々なやり取りがなされたのでした。
ところが……。
雲行きが一変したのはその2~3時間後。問題のネット記事を見たマスコミ各社が一斉に確認に動き出し、夕方の民放ニュースショーが鹿児島にいた池口氏をつかまえ、「最後まで手を尽くしたが、購入断念を決めた」と口にする様子を流し始めたのです。午後7時前にはNHKも「断念」を報じました。
それから間もなく、「騒ぎ」のもととなった某紙のネット版記事は削除されました。
最福寺、いや池口氏による衝撃の落札から約1か月半、「事件」は何ともドラマチック(?)すぎる結末を迎えたのです。
しかし……。
この土壇場での大手ゼネコンの融資話、
「あまりに出来すぎていないか」
「そもそも本当のことなのか?」
とウォッチャーや関係筋の間で、大いに疑問視されているのです。
10日午後、池口氏は神奈川県・江の島の最福寺別院で会見を開きましたが、わずか15分ほどで退席。実務担当者が代わって会見を続けます。
この人物は驚くべきことを口にしました。
「9日午後1~2時の間に(ゼネコン関連企業が融資額を)振り込むことになっていた。ところがその時間になっても振り込まれてこない。(寺と企業を)仲介してくれた金融機関に確認したところ、信じられないのだが、『振り込みができない状態になっている』と聞かされた」
聞いてる方こそ、にわかには信じがたい話です。
「(金融庁による妨害があったとの説明を、金融機関から)実際に受けた」
とも彼は言いました。これがもし事実なら、政府の妨害行為により、企業から金融機関への振り込みが不能になったという前代未聞の異常事態が発生したことになります。「にわかには信じられない」と疑問がわくのも当然でしょう。
最福寺、なかんずく池口氏による落札に、政府中枢が強い不満を持っていたのは事実でしょう。また、あれだけいわくつきの朝鮮総連中央本部ビルを「指折りの親北人士」が落札し、物件取得実現のため融資を求めてきたときに、当の企業や金融機関がかなりのプレッシャーを感じたであろうことは想像に難くありません。それでも池口氏側は一縷の望みをかけ、融資交渉に駆けずり回ったのでしょう。
だがそれと、「政府の妨害で振り込みができなくなった」とは、かなり次元の違う話です。
菅義偉官房長官は10日の会見で「金融庁にも確認させたが、100%ない」と反論しています。
あるウォッチャーは池口氏側の主張に、こう疑問を呈します。
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