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東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(3)――難しい新規参入

清谷信一 軍事ジャーナリスト

 防衛省は、自衛隊には「我が国固有の環境と運用」に合致した兵器などの国産装備が必要だという。それ自体は筆者も否定はしないが「我が国固有の環境」という主張が、単に外国製品の排除のための方便に利用されており、本当に我が国固有の環境や運用に合致しているとは思えないものが少なくない。

 国産品を開発するならば優れた技術を持った企業を新たに広く国内から募ればいいのだが、そのような企業を排除して、能力的に怪しくても防衛省からの天下りを受け入れている既存の防衛産業のメーカーのみに仕事を発注する傾向にある。結果、諸外国と似たようなものはできるが、性能的に怪しく、コストが何倍も高い装備が平気で調達されている。

 本年4月15日の衆議院予算委員会、第一分科会の質疑応答で日本維新の会、中丸ひろむ議員が質問して議論になったが、この連載では、過去2回、陸上自衛隊が数百億円もかけて開発・調達した、ヘリ型UAV(無人機)のFFOS、FFRSが先の東日本大震災という「有事」において一度たりとも使用されなかったことを指摘してきた。

 特にFFRSは防衛省が政策評価で「大規模災害やNBCに必要な装備であり、開発は成功」と自画自賛していただけに深刻であり、また、これが使用されなかった理由について防衛省の答弁と当時の事務次官の認識が異なっており、防衛省の発表や国会答弁の信用性に大きな疑いがあることを明らかにした。

 中丸議員は陸自のイラク派遣の際、サマワの宿営地の警備に、緊急的にヤマハのヘリ型UAVが使用され、その開発には中丸氏の地元、広島のラジコンメーカー、ヒロボーが関わっており、このような優れた技術を持つ企業が防衛省のUAV開発に関わっていない事実も指摘した。

 その上で中丸氏は、防衛省がこだわっているのは国産ではなく、一部の防衛企業の仕事の維持ではないかとの趣旨の質問をした。これに対して徳地秀士防衛政策局長は、

 「必ずしも国産にこだわっているということでもございませんで、あくまで、コストでありますとか、それから企業の方のご提案というものも踏まえて総合的な判断をしておりますので、それは個別具体的に検討してみないと何とも言いがたい」

 と、木で鼻をくくったような答弁している。

 中小企業の中には高い技術を持っている企業も少なくない。また防衛省の装備を見て、「ウチなら一桁安い値段で納入できます」というところもある。

 だが筆者の取材する限り、防衛省が ・・・ログインして読む
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筆者

清谷信一

清谷信一(きよたに・しんいち) 軍事ジャーナリスト

軍事ジャーナリスト、作家。1962年生まれ。東海大学工学部卒業。03~08年まで英国の軍事誌Jane's Defence Weekly日本特派員。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関、Kanwa Informtion Center上級顧問。日本ペンクラブ会員。著書に『専守防衛─日本を支配する幻想』『防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備』『自衛隊、そして日本の非常識』『ル・オタク フランスおたく物語』、共著に『軍事を知らずして平和を語るな』『アメリカの落日―「戦争と正義」の正体』『すぐわかる国防学』など。最新刊に『国防の死角――わが国は「有事」を想定しているか』。

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