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内閣提出法案をなくしてはどうか?

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 日本では、国会に出して法律をつくるには、2つの方法がある。議員発議(議院立法)と内閣提出(閣法)である。前者も最近は増えているが、メインは後者だ。

 前者は、憲法41条にある「国会は国の唯一の立法機関」が根拠になっている。後者は、憲法72条の「内閣総理大臣は内閣を代表して議案を国会に提出」が根拠になっている。その条文に基づいて、内閣法5条にも、同様の条文があり、内閣の法案提出権が明記されている(注1)。

 日本は、議院内閣制であり、与党が内閣を構成するために、与党と内閣は密接な関係にある。そのことが、自民党による与党・内閣の政策決定の二元性(注2)や与党内のクローズドな場所での事前審査や承認の仕組みを生みだした。これが与党の党議拘束と相まって、結果として国会での質疑を形式的、儀式的にしてきた。

 これに対して、2009年に政権交代を実現させた民主党は、自民党のこの手法を厳しく批判し、政策形成を内閣に一元化しようとした。逆にこのことが、与党議員の政策形成に関わる機会や活動をほぼ消失させ、内閣に参加できない議員の不公平感や不満を生み出し、与党内が混乱し、政権運営を失敗させてしまったのである。

 結局はうまくいかなかったが、内閣に一元化し、国会での審議をより実質的なものにしようという方向性は正しい面もある(注3)。

 また日本では閣法が中心であるために、政策形成の中心に近づいて政治的権力を得るには、内閣に関わることが重要だった。これが、議員(特に与党議員)が国務大臣になりたがる、いわゆる「大臣病」を生み、国会軽視の風潮も生んできたのである。

 だが、よくよく考えたいのは、日本は議院内閣制で、内閣は与党によって構成され、その正統性の根源は本来与党(広くは国会)にあるということだ。これは、主権者たる国民の意志に直接基づく国会がより重要であることを意味する。これはまた、国会の委員会の委員長と大臣は、三権分立における立法と行政において本来は同位にあるか、前者がより重要なことを意味する。

 こう考えると、委員長が将来大臣になるための通過点のようになっており、国会で実質的審議がおこなわれず国会の役割が軽視され、形骸化しているのは、問題だといわざるをえない。

 そこで、国会の役割をより重くし、与党・政府の政策形成の一元化を図りつつ、与党議員の役割も活かすために、次のような提案をしたい。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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