2013年09月04日
衆参選挙における投票数(政党の得票数)の推移から、有権者の政治意識や行動パターンを考えてみたい。
ご存知のように、参議院選挙は、政権選択の選挙でないなどの理由から、衆議院選挙に比べて、常に投票率が低かったり投票数が少ない(注1)ので、衆参の選挙を単純に同列に並べて比較することにはやや問題もある。だが、有権者の意識や行動の推移を知るために、本稿では両者をまとめて検討していきたい。また有権者の政党への支持をより単純に知るために、ここでは比例代表における投票数だけを比較検討していくこととする(注2)。
最近の衆参選挙における投票数(政党の得票数)の推移を簡単にまとめたのが、図1である。また、民主党との比較において、自公のみに絞ってまとめたものが、図2である。
これらをみると、まず次のことがわかる。
・衆参の選挙では、明らかに衆院選の方が投票数が多い。
・国民の注目が高かった2005年の郵政民営化が争点になった衆院選と2009年の政権交代が注目された衆院選では、特に多くの有権者が投票した。
つまり、国政が大きく動く選挙では、有権者の関心は確実に高くなり、投票行動に結びつく可能性があるということである。
その関連でいえば、2012年12月の衆院選挙も今年7月の参院選挙も、有権者から大きな関心が寄せられたとは必ずしもいいがたい。その意味で、自公が、相対的に大勝し多くの議席を得て与党に返り咲いたが、有権者・国民からの強い支持があるとはいえない。
次に政党ごとに考えていこう。
まず昨年末の衆院選で、政権を追われた「民主党」をみよう。
図1からもわかるように、民主党は、2005年、2007年、2009年の衆参の選挙で確実に得票数を伸ばし、有権者・国民からの支持を高めていたことがわかる。同党は、2007年の参院選時には、自公合計の得票数に迫り、次の選挙である2009年の衆院選で得票数を逆転させ、政権を獲得したのだ。
他方、図2でわかるように、「民主党」は、2010年の参院選の総得票で、自公の合計で負けており、当時すでに国民・有権者の支持を失いつつあったのがわかる。つまり、2012年の衆院選以降の結果は予想できたのである。
また、同党は、今回の参院選では、昨年大敗した衆院選での得票よりさらに250万票ほど減らし、大大敗北ともいうべき、ひどい大敗を喫したことがわかる。
2005年の郵政民営化選挙での小泉解散で民主党は敗北したといわれた(得票数は約2100万票)。だが、今回の参院選の同党の得票数(約710万票)は、2005年得票数と比べると、実に3分の1であり、現在の「民主党」がいかに壊滅的な状況にあるかがわかる。逆にいうと、2005年当時は「敗北」といいながら、現在の約3倍近い得票を得ていたのだ。
この結果が、現在の民主党の混迷と迷走を生み出していることは確実だ。
こう考えていくと、民主党が、失った国民・有権者からの支持を再度獲得するには、党内の対応以上に、国民と地道に対話し、彼らの意見を聞くという作業を今後数年かけてやっていくことが必要である(注3)。
次に、第三極といわれた「日本維新の会」や「みんなの党」をみていこう。
「日本維新の会」は、先の衆院選と今回の参院選を比較すると、得票数がわずか半年で2分の1に激減してしまった。橋下徹共同代表の失言や影響力の低下など、さまざまな問題によって急速に失われた国民・有権者からの信頼を回復するのはかなり厳しい。失ったものを回復するのは、上昇傾向にある時に信頼を獲得するよりもずっと難しい。
「みんなの党」も、一時の勢いは失われ、2010年の参院選以降、得票数は減少傾向にある。そのことが、党のマネジメントの混乱を生み、さらに党への支持が高まらない原因になっている。
上記の政党と比して、共産党は一時の低迷状況を脱し、今回の参院選でも健闘したといえる。現野党の中で、唯一得票を伸ばしており、弱体化する野党の中で唯一気を吐いているといえよう。
さて最後に、「公明党」も絡めた形で、「自民党」をみていこう。
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